中東の超エリートたちが続々と起業するワケ イスラエルの特殊部隊率いた元司令官が語る
――8200部隊での経験が、その後のスタートアップを始める際の起業家精神を養う源泉になっているということですね。ちなみに、除隊後にも8200部隊出身者同士のつながりは非常に強固で、ビジネスを広げていく際にもそのネットワークが大きな意味を持ってくると聞きますが、実際は?
そのとおりです。今や、イスラエルで8200部隊出身者の在籍していないテック企業を見つけることが不可能なほどです。起業家や斬新なアイデアを持っている人が、8200部隊出身であることも非常に多い。彼らは、同窓会のようなものを開くなどして情報交換も積極的に行いますし、もちろん上下のネットワークも存在します。その後起業をする際に力になってくれる人物を探し当てるのにも、まさにこのエリートの宝庫のような人脈ネットワークが生きてくるのです。
「8200部隊」で得た2つの大切なものとは
――8200部隊での経験は、コーヘンさんご自身の人生にどのような影響を与えましたか?
8200部隊に仕えたことは、ほかでは決して経験できないすばらしいものでした。インテリジェンスと技術を融合させた特別な任務に携わり、すばらしく能力に秀でた人たちと一緒に仕事ができ、さらに国家を守るために貢献できる。こんなエキサイティングな経験はありません。
あと、一つ。私が8200部隊で得たものは、部隊における特別な経験だけではないのです。実は、もう一つ大切な物を手に入れることが出来ました。
それは、愛する妻です。妻は、私と同じ時期に8200部隊に仕えていた仲間でした。お互いが18歳の時のことでした。つまり私は8200部隊から、他では味わえない素晴らしい経験と “妻”というかけがえのない「2つの大切なもの」を得たのです。
――8200部隊にいたときは、仕事について家族や友達に話しましたか?
1973年に部隊に召集されましたが、その当時は家族にさえその事実を話すことは許されませんでした。ただし、同じ部隊にいた妻を除いては……ですけれどね。
――当時は、その存在はほとんど公にはされてこなかったようですね。ただ、ここ最近はイスラエル政府が積極的に「8200部隊」という言葉を、イノベーション国家としてのプレゼンスをアピールするのに使っているように見受けられます。実際に、部隊出身者が起業した会社のプロフィールに「CEOは8200部隊出身」などと明記して箔を付けるのに一役買っている例も増えていますね。
まさにそのとおりです。イスラエルは今、自国をイノベーション立国としてアピールする際、国家の成功に貢献した大きな柱の1つとして8200部隊について必ず言及します。部隊で培われた経験はイスラエルの国家としての成功に大きな影響を与えているからです。
8200部隊では、インテリジェンスの実務に加え、イノベーティブな方法で科学技術の発展に向けての解決策を学ぶこともできます。最近の部隊出身者は積極的に、8200部隊出身であることをアピールするようになりましたし、世界においてもその存在の知名度が上がってきたことで、ある種のステータスやブランド力のようなものも伴ってきていると感じています。
――日本政府も今、イスラエルとの交流を加速させようと要人がテルアビブなどに積極的に出向いているほか、昨年5月には「日・イスラエルイノベーションネットワーク」を設置して企業や大学などを巻き込み、相互の連携が加速しています。イノベーションでは一歩遅れていると評されがちな日本ですが、今後、イスラエルと日本との連携の可能性についてはどのようにお考えですか?
日本はイスラエルが小さな目立たぬ国であった頃から、すばらしいパワーを持ってきました。科学技術における日本とイスラエルの間のコンビネーションは、両国の間の違いにいい意味での化学反応が生まれて劇的な結果をもたらすと信じています。
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