中東の超エリートたちが続々と起業するワケ

イスラエルの特殊部隊率いた元司令官が語る

「日本を舞台に選んだイスラエル起業家の決意」(12月26日配信)で取り上げたイスラエル人起業家のヨアブ・ラモト氏も、少数精鋭の“8200”部隊出身者だ。今回は、そのエリート部隊を率いるイスラエル国防軍に32年間にわたって勤務してきた、元8200部隊司令官ヤイール・コーヘン氏への単独インタビューをお届けする。

ちなみに、コーヘン氏は現在スタートアップの経営支援をするベンチャーキャピタル「ペリテック」のCEOを務め、起業家を目指す多くのイスラエルの若者を支援している。特にサイバーセキュリティ分野などで強みを持つスタートアップに潤沢な資金や起業を成功させるノウハウ、さらには部隊出身者を中心にした幅広い人脈などを提供し、強力なバックアップでイスラエルにおけるイノベーションの屋台骨を支える影の立役者として活躍している。

その、元8200部隊司令官コーヘン氏が明かす「8200部隊」の実態とイスラエルのイノベーションの可能性とは。日本とイスラエルの未来像についても語ってもらった。

「8200部隊」に選ばれるエリートとは

――「8200部隊」に選抜されるのは、高校在学時から優秀な成績を収めた上位1%のエリートだけだと聞きますが、実際にはどのような能力を見られているのでしょうか?

国家の中枢で諜報活動に携わるため、8200部隊の一員に選ばれるのはごく一部の優秀な若者に限られます。理数系に秀でた成績であることはもちろん、IQ(知能指数)やリーダーシップ、ハッキングやプログラミングの能力なども試されます。そうして得た貴重な人材を、われわれはエリートとして育て上げることに注力します。部隊では多くの資金を投入して、国家の重要な任務を達成するのに必要な能力を鍛え上げるのです。

――ご自身が「8200部隊」にいたときに、特に印象に残っているエピソードはありますか?

もう30年以上前のことになりますが、当時の上司が私にこのような指令を出しました。「3億ドルの予算に値する仕事を与えるが、10人割くことはできんぞ。与えられる人員は3人だけだ。先を見通して、これから何が果たして必要になるのか分析をしてくれ。ちなみに、使える予算は300万ドルのみだ」

8200部隊に仕えていた当時のヤイール・コーヘン氏。当時の経験が自らの起業家精神を養ったと振り返る

極秘任務なので詳細はお話しできないのですが、本来3億ドルをかけるべき任務に300万ドルのみしか与えられなかったのは、資金や材料が十分にない状況においても、いち早く技術的な解決策を編み出す必要があることを考えさせるものだったからです。

資金が乏しい状況下で、このように非常に大きなチャレンジを若者にさせることは、隊員がイノベーティブな思考回路を持てるよう鍛錬するものであり、限られた資源で大きな結果を生み出すことにつながります。そして、その状況はスタートアップを立ち上げる出だしとよく似ているのです。

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