ロシアは大胆な軍事行動を起こしかねない 政府内で軍の発言力が高まっている

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この事件に対するロシア国防省の対応は、同国の外交官らに比べてはるかに厳しいものであり、米国務省や米国政府の外交政策に対する度重なる批判を含めた、幅広い広報政策の一環とみなされている。

その他に国防省が関心を示している地域としては、エジプト、スーダン、リビアがある。

ショイグ国防相は、先月モスクワで行われたプーチン大統領とスーダンのバシル大統領の会談にも参加している。またロシア国防省は1月、リビア東部の有力な軍指導者であるハリファ・ハフタル司令官を招き、ロシア唯一の航空母艦に乗艦させた。この訪問のあいだ、ハフタル司令官はショイグ氏と中東のテロ対策についてテレビ電話で協議した。

ロシア国内の政策策定に関しても軍の影響力が拡大

こうした出来事によって、ロシアが空軍基地と海軍施設を持つシリア以外に、イエメン、スーダン、アフガニスタンといった要衝にも拠点を広げることを計画しているのではないかという懸念が高まっている、と西側当局者はロイターに語った。

ロシア国内のアナリストや西側当局者は、ロシア国内の政策策定に関しても軍の影響力が拡大していると指摘する。デジタル経済から食料安全保障に至るまで、あらゆることについてプーチン大統領が軍の意見を求めているからだ。

理由の1つには、ウクライナからクリミア半島を奪取して以来、プーチン大統領が意志決定の方法を修正し、自ら議長を務める安全保障会議が扱う範囲を広げて、国内政策課題の多くについても討議するようになったことがある。

「ますます敵に囲まれるようになったとのロシア側の感情があるなかで、プーチン大統領は、あらゆる決定について、これまで以上に情報機関と軍に相談するようになっている。いつも彼らと会っている」。そう語るのは、シンクタンク「センター・フォー・ポリティカル・テクノロジーズ」の分析部門を率いるTatyana Stanovaya氏だ。

同氏は、軍が政策の原案を示すという意味ではないと述べた上で、プーチン大統領はこれまでに比べて軍の意見をはるかに重視するようになっており、国内政策分野でも軍が重要な発言権を持つようになっている、と語った。

(Andrew Osborn and Jack Stubbs 翻訳:エァクレーレン)

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