ロシアは大胆な軍事行動を起こしかねない 政府内で軍の発言力が高まっている
ロシア外務省や国防省と直接の接触がある西側当局者によれば、ロシアの軍は政府に対して、外務省とは質の異なる現実的な影響力を持っているという。
この当局者によれば、ロシア軍とシリア政府上層部のあいだには「強い相互信頼関係」が築かれている。理由は「ロシア軍がシリア政府上層部の安全を守り、彼らがそれを重く見ているから」だという。
ロシア外務省も依然、有能な中東専門家を抱え、引き続きシリアで重要な役割を演じており、カザフスタンでの和平協議を支えている。
だが、シリアにおける米ロ両国の協力合意を取りつけようとするラブロフ外相自身の努力は、時に外務省と国防省の考えが大きく異なる場合があることを如実に示している。
ラブロフ外相は依然として、プーチン大統領の信頼と敬意を受ける優れた外交官だと見られている。だが西側の当局者らによれば、同外相は必ずしも重要な会議すべてに呼ばれるわけではなく、シリアでの主要な軍事作戦についても知らされていないという。
政策への介入
複数の米情報機関は、これ以外にもロシア軍が外交政策に介入している例として、昨年の米大統領選挙におけるロシア干渉疑惑への関与を挙げている。
米情報機関によれば、ロシア軍の対外諜報部門GRUは米民主党の職員や政治家のメールアカウントに対するハッキングを行い、トランプ氏の主要ライバルだったヒラリー・クリントン氏にとって世論が不利になるよう、メディアへのリークを画策したという。
ロシア政府はこうした容疑を否認している。
他にも、政治介入の例として、ロシア国防省は2015年12月、トルコのエルドアン大統領とその一族が、シリア及びイラク領内で過激派組織「イスラム国」の支配地域から石油を違法に密輸することで利益を得ている証拠をつかんでいる、と記者会見で発表した。
この告発は、トルコ空軍機がシリア・トルコ国境近くでロシア機を撃墜した1週間後の記者会見で行われており、エルドアン氏は誹謗中傷にすぎないと一蹴している。