2018年前半、日経平均はあまり上昇しない? 日本株で儲けたいなら知っておきたい

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最近、気になっているのが、米国の長期金利(10年債利回り)が、200日移動平均線の価格を意識しつつ、直近高値の2.46%(10月26日)を上回ってきたことです。「米国景気がよくなっているから」といえばそれまでなのですが、そもそも債券市場は独立した大きなマーケットです。

景気の良しあしの要因だけではなく、売られれば金利は上昇するし、買われれば金利は下がります。もし、今回の直近高値に加えて、さらに2013年以降の主要な高値をつないだ「抵抗線」を上回る状況になると、金利上昇に弾みがつく場面が2018年のどこかでやってくる可能性が高いとみています。仮に、2013年につけた高値水準の3%程度まで上昇し高止まりが続くと、米国景気に悪影響を及ぼしかねず、その際は株価の本格調整入りも視野に入ります。

2018年は「FANG」が米国株の足を引っ張る?

以前、10月の記事(「10月に日本株を買うと儲かる」は本当か)で「米国発のリスク」を3つほど挙げました。まずは、米国景気にピークアウトの懸念があること。2番目は、ボラティリティの周期に対するリスクです。ボラティリティといえば、一般的なのは米国のVIX指数(恐怖指数とも言われる)ですが、これはボラティリティ(市場の変動リスク)が高まると上昇します。そのVIX指数は2015年夏場以降、おおむね100日前後でボラティリティが高まる周期が訪れていて、最近ではその周期が70~80日と短くなってきています。

次の70~80日の周期が訪れるのは、2018年の2月下旬から3月上旬ですが、そのあたりに、ボラティリティが高まる局面がやってくるかもしれません。最後に、3番目は、米国のIT・ハイテク株の動向です。2015年から約3年間で2~4倍近くまで上昇した大型ハイテク株のFANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)が、この先も米国の株式市場を引っ張っていけるでしょうか。むしろ年間を通しては調整によって、足を引っ張る要因になる可能性の方が高いと思います。

上記の3つのリスクが、米国の長期金利上昇によってもたらされるとすれば、すでにチャート上では危険信号が出ていることになります。

日経平均株価が2018年の早い段階で高値をつけたとして、その後も米国株の調整に引きずられることになると思いますが、6月あたりからは緩やかな上昇で前半の下落分を取り戻す展開を予想しています。

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