2018年は1ドル=100~105円まで警戒 高すぎるドルの調整役がユーロから円へ
1年前、筆者は2017年の為替相場に関し、「実効ベースで見たドルは高すぎる。調整が入ってドル全面安となり、円高も不可避」との見通しを持っていた。この点、年初来のドルの名目実効為替相場(NEER、国際決済銀行が公表)は10月までの間に6%下落しており、2017年が「ドル安の年」となったことは間違いない。
しかし、ドル安が進んだ割に円高が進まず、この点に誤算があったことも認めざるをえない。円高ドル安予想は半分当たって、半分外れたということになる。しかし、円安ドル高であったかといえば、そうではない。年始が1ドル=117.10円で、現状は1ドル=112円付近で推移しており、ローソクチャートで見れば「円高の年」として越年する可能性が高い。
最も肌感覚に近い評価は「横ばいの年」だろう。今年の高値と安値の変動率は10%程度であり、このままいけば過去30年間で3番目に小さい。方向感を予想するアナリスト、相場を張るトレーダー、値動きを追いかけるメディア、いずれにとっても、今年の為替市場は鬼門であった。活況を呈した株式市場とは対照的だった。他方、為替安定を志向する事業法人の方々にとっては非常に安心できる良い年であったといえる。
2017年の「裏の主役」はユーロとメキシコペソ
しかし、為替は常に相手のある世界であり、「ドル安の年」にもかかわらず円高が進まなかったのは、ドル売りの「受け皿」がほかに存在したからだ。結論から言えば、それはユーロとメキシコペソだった。ドル名目実効為替相場の下落6%のうち3.2%ポイントがこの2通貨の上昇で説明できる。2017年のドル安は「ドルが弱かったからではなく、ユーロやメキシコペソが強かったから」という説明もできる。この2通貨の急騰を読めなかったことが、筆者の誤算だったと自己分析している。
ドル相場を駆動するはずの米10年金利も年初来でおおむね2.3~2.5%程度の狭いレンジでしか動かなかった。FRB(米国連邦準備制度理事会)をめぐってはそれなりに話題があった年だが、米長期金利は反応薄だった(むしろ少し低下)。だからこそ、内外金利差に敏感に反応するドル円相場も動かなかった。
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