これだけでも十分「不思議」なわけであるが、もっと不思議なのはその後の展開である。名門オックスフォード大学に進学したシコルスキ外務大臣は卒業後、英国紳士(ジェントルマン)たちだけが入ることの許される「紳士クラブ」に入会する。
実はこの同じ「紳士クラブ」に現在のキャメロン英首相が属していたのである。そして1989年にベルリンの壁が崩壊し、祖国ポーランドに帰国するまで、シコルスキ外務大臣は有名紙「オブザーバー」等の記者・特派員として英国メディアにおいて大活躍したのであった。
金融資本主義の根源にある「本当の構図」とは
昨年(2012年)秋以降、最新刊である拙著『それでも『日本バブル』は終わらない――残された2年間ですべてが変わる』に至るまでの間に私の書いた書籍をじっくりとお読み頂いた皆様はこのように聞いて必ずやピンと来ているのではないかと思う。それらで書いてきた「思考の補助線」を改めてここで再現してみよう:
●「ベルリンの壁の崩壊」「東欧革命」をもたらしたのはヴァチカン・マネーであった。すなわちヴァチカンが我が国銀行関係者を経由してパナマに送金し、そこからポーランドの反体制組織「連帯」へと大量のマネーを注入。これが今度は東欧各国にあった反体制組織へと流されることによって一連の「体制転覆」が実現可能となった
●こうした動きの背後にいて、全体の戦略図を描いているのは、英国そのものとも独立した存在であるロンドン・シティ(City of London)である。その主人公たちと密接不可分な関係にある英国紳士(ジェントルマン)たちが寄り集う場所が「紳士クラブ」であり、そこでの日常的なやりとりの中で前者の意思は後者へと伝達され、あるいは物事が決められ、実行へと移されていく
●これが現在の金融資本主義の根源にある「本当の構造」である。その延長線上に作られた道具、あるいは舞台装置が「国民国家」なのであり、それ以上でもそれ以下でもない。またこの「本当の構造」との比較で言うならばいわゆる“超大国”として知られる米国であれ、ロシアであれ全くの張子の虎でしかない。そしてそれを率いる首脳たち(オバマ米大統領とプーチン露大統領)が気にしているのはこの「本当の構造」の意向であり、これに従う限りにおいて、彼らの政治的な延命は確保される
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