キュウリを買いに来た客にスイカを売る方法 敏腕おかみに学ぶ営業の極意
そんなやりとりの後、彼女はキュウリをやめて、思わずスイカを買ってしまったそうです。「だってそこまで言われると食べてみたくなるじゃない!」と。
お客さんの好みに合わせたアドバイス
この話を聞いて、「コミュニケーションの達人!」と思いました。友人がこの「セールストーク」に乗ったのは、中身が誰にでも言えることではなく、「八百屋のおかみさんだから言えること」「現場のプロとしての知識に裏打ちされたこと」だったから。もしこのおかみさんが、「安いよ、安いよー」といった紋切り型の呼び込みしかしていなかったら、友人はきっと心を動かされなかったでしょう。
自分が持っていない専門知識に対して、「へえ!」と思う。その感動は人を動かします。
一方で、あまりうれしくないセールストークがあるのも事実。よく引き合いに出される店員さんの応対は、こんな感じですよね。「私も同じものを持ってるんですよ」「すごく売れてるんですよ」。
これらはあまりにもマニュアル的。誰にでも言えるし、そもそも「店員さんと一緒でうれしい」「売れているから」という価値観を押しつけられている気もします。
セールストークも相手ありきですから、お客さんの好みに合わせたアドバイスができると喜ばれます。ちなみに八百屋のおかみさんは、スイカを買った彼女に帰り際、「今度来たときに、おいしかったかどうか教えてね」と言ったそうです。これもまた、うまいなあと思います。
たとえセールストークでも、人間らしい一面がふわっとにじみ出る言葉が入ると、相手に「心地良く会話できたなあ」と感じてもらえます。そして、そんな瞬間にこそ気持ちが動きます。
自分が持っている専門知識の中から相手が喜びそうなものを探す。相手にとって有益な情報はなんだろうかと考える。そんなところにまたひとつ、普段の会話のヒントが詰まっていました。ちなみに、例のスイカはたしかに甘くて、今ではすっかりおかみさんのファンになってしまった友人。今度、私をお店に連れて行ってくれるそうです。果たしてどんな言葉をかけてもらえるでしょうか。楽しみです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら