50代夫婦が保険解約の前に絶対にすべきこと 「子どもにかかるおカネ」が峠を超えたら?

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その理由は、50代の保険の見直しをするにあたって、「今あるおカネ」と「これから入るおカネ」を見極めなければならないからです。

この年代のご家庭はこれらのおカネを、漠然とごちゃまぜにしている場合が多いのです。妻の立場で考えた時、「夫が生存しているから受け取れるおカネ」は、夫が亡くなるともらえなくなり、妻が生活に使えるおカネは夫死亡時点での残高のみとなります。一方で、「夫が亡くなっても受け取れるおカネ」があれば、それは「妻の生活保障として、見積もれるおカネ」となります。

たとえば、前述した「夫の給与」や「定年後の時給」「企業年金」は夫が元気でいることが条件で入ってくるおカネです。なお、退職金は退職前に夫が亡くなると、死亡退職金として受け取りが可能です(通常の退職金よりも減額される場合が多い)。

100歳までの「キャッシュフロー表」を作成してみる

50代前後の方は、できれば、これから100歳までの「キャッシュフロー表」を作成すると良いでしょう。その中で、夫が先に亡くなるケース、妻が先に亡くなるケースでキャッシュフローがどう変化するのかシミュレーションしてみるのも有効です。

具体的に、簡単ですがやり方を説明しましょう。

まず、夫が先に亡くなるケースを説明しましょう。夫が受け取る老齢厚生年金は、夫が亡くなると、妻にはその4分の3にあたるおカネが遺族年金として、生涯にわたり支給されます。夫が受け取る老齢厚生年金の額は、「ねんきん定期便」を見ればわかります。50歳以上の人のねんきん定期便は、年金見込み額が掲載されているので、ほぼそこに書かれている年金額で確定と理解できます。

ただし、いくつか考慮すべき点があります。

実は、50歳以上のねんきん定期便には、発行時点での給与額がそのまま60歳まで維持されることを前提として計算されています。老齢基礎年金は国民年金ですから、60歳までの加入は働いていても、働いていなくても義務ですから問題はありません。しかし、老齢厚生年金は給与額が年金額に反映されます。したがって、前述した役職定年等があると、実際の老齢厚生年金額はねんきん定期便に記載される金額を下回ってしまうのです。

あくまでも概算ですが、減額分については「給与額(実際には4~6月の3カ月分の総支給額を平均化した標準報酬月額で計算)×5.481÷1000×該当月数」で「あたり」をつけることができます。たとえば給与50万円が35万円に減額見込みであれば15万円マイナスです。この金額を先ほどの式に当てはめてみます。

15万円×5.481÷1000×5年×12か月=4万9329円となります。つまり、月収が15万円減ると、役職定年前に発行されるねんきん定期便の老齢厚生年金額よりも、年金が約5万円減額されると見積もることができます。「年額で5万円だから、たいした金額ではない」と思うかもしれませんが、仮に30年間老齢年金を受給すると、150万円もの差額となります。

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