半沢直樹の”便乗商法”にモノ申す
ドラマ「半沢直樹」が強烈に風刺する現実社会

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半沢直樹、今後の展開

大方の予想に反した展開が高視聴率の一因でもあったわけだが、最後のシーンで、半沢直樹はハッピーで終わらず、左遷の憂き目にあった。間違いなく“半沢直樹2”への布石である終わり方だが、次回作では社会の何をメタファーにして風刺してくれるのだろうか。

この手の“下剋上勧善懲悪ドラマ”は不景気の時や、会社やお上に自分が不当に虐げられていると感じている時、つまり“ショムニ”が流行るのと同じ構造で“下の者が上の不正を正す”ことへの需要が強い時にこそ流行するものである。

この意味で“本音を隠して我慢し続けず、正直に感情をぶつけあえる社会になれれば、半沢直樹にこれほど頼らなくてもよくなるだろうに、とも感じるわけだが、“不当なお上からの圧力にやられっぱなしになることに慣れてしまっている一般大衆”が少しでも覚醒するきっかけになり、怒りの声を上げる勇気を与えたのであれば、ドラマ”半沢直樹“の社会的意義は相当大きなものになりえるだろう。

単に”倍返し“を流行語大賞にして、軽はずみに上司に嫌がらせをするだけで終わるには、あまりにももったいない、教訓に富んだドラマなのである。

 末筆ながら、冒頭およびタイトルで“半沢直樹の便乗商法にモノ申す”と言っておきながら、完全にこのコラムこそ便乗商法だったのはご推察の通りである。しかし周りからどう思われようが遠慮せずにリスクをとった勇気に対し、“いいね”や“ツイート”の数で10倍返しにしてくださることを祈念しつつ、本コラムを終えさせていただきたい。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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