ミュラー氏による捜査が幕引きへ向かうワケ カギは米国憲法で確定された大統領権限

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そのコミー氏の一連の不手際の陰の主役の1人として、前述のFBI捜査官がいた。ミュラー氏は、この混乱の中軸の責任者である捜査官を直属の部下とし、重要捜査を任せていた経緯をどう説明するのか。その社会的責任と、経済的な混乱を招いたマイナス効果をどう償うというのか。

このFBI捜査官は、ミュラー氏がFBI長官だった当時、華々しい出世コースに乗っていた。ミュラー氏は、昵懇(じっこん)のオバマ大統領のたっての頼みで、FBI長官任期10年の慣例を破って、12年務めたが、他方、次期FBI長官になるはすだったコミー氏は、FBI外部に転出し、民間企業の役職に就いた。

ミュラー氏のFBI長官退任を受けて、おそらくはミュラー氏の引きでFBI長官に就任できたコミー氏にとって、ミュラー氏のお気に入りの捜査官を、その出世コースから外せるわけがない。コミー氏はミュラー氏の忠実な弟子として、この捜査官にFBIの重職を任せ続けた。

そのFBI捜査官のこれまでの行動には、どう控え目にみても、米国や世界に与えた混乱と経済的マイナスという「反社会性」が内包されている。そんな反社会的な行動をしてきた捜査官を、FBIから引き抜いて直属部下にし、トランプ陣営の人たちに関する捜査を任せてきたミュラー特別検察官の責任は、いったいどうなるのか。特別検察官にあるまじき「反社会性」を、丸ごと承継したことにならないのか。

ミュラー氏は捜査の早期幕引きを図るのが賢明

これを、「法的」な角度で、「コンプライアンス」という視座から分析すると、次のようになる。

このFBI捜査官が「ヒラリーEメール問題捜査」の主役の座にあったことは、ミュラー特別検察官には調べられたはずだ。仲のいい教室のような密閉された組織の中で、知らなかったでは済まされない。万が一、ミュラー氏が知らなかったのであれば、必要最小限のコンプライアンス遵守をミュラー氏自身がしなかったことになりうる。

もともとコンプライアンスの責任はトップにあり、コンプライアンス・プログラムの不備、不在、不遵守の全責任は、必然的にトップであるミュラー氏個人が負う、というのが米国法だ。それこそ、コンプライアンス・プログラムの1丁目1番地の鉄則である。

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