中島:このように、ビットコインはこの2年間、世界の取引の9割以上が規制逃れのために使われてきました。まともな動機の取引ではありません。皮肉にも、誰にも管理されずに自由に価値を動かしたいというサトシ・ナカモトの思想が実現されてしまいました。
木本:お金持ちがズルをするためにビットコインを使っていた。
匿名性を盾にした悪事が多発
中島:匿名性についても、ビットコインの信頼性を貶(おとし)める3つの事件がありました。1つはシルクロード事件。違法薬物を販売する闇サイトがあり、薬物を売るための決済手段として使われたのがビットコインでした。高い匿名性があるため、犯罪者が好んで使う支払手段となっています。
2つ目がマウントゴックス事件です。2014年に突然取引を停止して、その後すぐに破綻しました。当時、世界最大の取引所で、シェアも7割ありました。社長が会見して、外部からハッキングされて470億円分が消失したと発表しましたが、のちに、社長が横領していたとして逮捕された(現在裁判中)。
中島:このほかにも、第2位の仮想通貨であるイーサリアムでも「ダオ事件」というものがあって、巨額のコインが盗まれています。ビットコイン自体の安全性は破られていませんが、盗難や流出といった事件が時々起きており、流通や保管のシステムとしては、まだ十分整備されていないと言えるでしょう。
人々が銀行や証券会社を信頼しているのは、そこに高い安全性があるからです。ビットコインは時々盗まれたりなくなったりしていますので、システム全体としての安全性はまだ不安定です。
木本:ビットコインや仮想通貨は、まだ完成されたものにはなっていないと。
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