(3)1ドル=100円に迫る円高 ざっくり言って、1ドル1円の円高で日経平均は200円くらい下落するので、10%以上の株価下落材料だ。FRB(米連邦準備制度理事会)が緩やかに金利を引き上げる一方、日本では金融緩和政策が継続中で、両国の政策の差が、おそらく実力よりも10%以上は円安な現在の為替相場を作っている。大きいとは言えないが、日本の貿易黒字を米政府が問題視して、より円高な水準を求める可能性はある。
個人投資家は、全般的に「円高リスク」を過度に軽視する傾向があるように見える。今回リストアップした心配の中では、いちばん普通に起こっておかしくない事象なので、心に留めておいてほしい。
(4)ドナルド・トランプ大統領の退陣ないしは米政権の大混乱 10%程度の下落要因になるかもしれない。だが、その場合もマイク・ペンス副大統領が実権を握ることになると「普通の共和党政権」になるので、株価は戻るだろう。
(5)FRBの利上げによる米株価の下落 経験則的には、現在予想されているようなペースの利上げであれば「2018年中にはまだ危険ゾーンまで達しない」。FOMCメンバーによる2018年末のFF(フェデラル・ファンド)金利の予想値(中央値)は、2.125%だ。
前回の利上げ局面(2004〜2006年)では、利上げ幅は4%を超え、FF金利は5%台に乗った。過去の経験では、FF金利が4%を超えるくらいから金融の引き締め感が強まって、要警戒のゾーンに入る。現在のFF金利の誘導目標である1.25〜1.5%は、まだ消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利だ(11月のエネルギー・食品除くコア指数は前年比+1.7%)。
「まだ」が「もう」に変わる瞬間がいつかは訪れる
ただし、米国の株価がレベル的に高いと見られること、最終的に金融引き締めに勝つ相場はないことは、認識しておこう。「まだ」が「もう」に変わる恐怖の一瞬がいつかは訪れる。今のところ「まだ、2018年中にはないのではないか」というくらいが平均的な見方だろう。
今のところ、株価は高いとしても、前回の金融危機のような巨大な歪みが経済に溜まっている感はなく、あっても「普通の下げ相場」だろう。投資家諸氏は、2年くらい我慢すると、元の株価に戻るような状況をイメージされたい。
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