NHK受信料制度、「合憲」でも山積する課題 公共放送としてのあり方が問われている

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これはNHKにとって重要な争点だった。書類送付による契約成立が認められなかった以上、NHKは以前と変わらず、未契約の世帯を一軒ずつ訪問し、対面で契約を求めなければならない。それでも「テレビはあるがNHKは見ない。受信料は払わない」という世帯に対しては、訴訟を起こして契約成立を迫るしかない。より”勝ちやすく”なったとはいえ、訴訟を頻発させるとは考えにくい。実務に大きな変化はないとみられる。

NHKは公平負担の観点から、受信料の支払率(2016年度は79%)を引き上げるべく、営業会社への委託を増やすなど工夫を凝らしてきたが、短期で支払率を引き上げるのは難しそうだ。

支払い義務の発生時期や時効も明確に

もう1つの論点が、「裁判によって受信契約を命じられた場合、支払い義務はいつから発生するのか」だ。NHKは「受信機(テレビ)を設置した時点」と主張。一方の男性側は、裁判で敗訴する時点までの未払い分は支払う必要がないとして、「契約が成立した時点」と主張した。

この点について最高裁は、「テレビ設置後、速やかに受信契約を締結した者と、契約が遅れた者との間で支払うべき受信料の範囲に差が生ずるのは公平とはいえない」として、NHKの主張を認めた。

3つ目が、「消滅時効によっていつから支払い義務がなくなるのか」。被告の男性は2006年3月にテレビを設置していた。受信料の時効は5年であるため、契約が成立した場合、未払いの受信料のうち一部について支払う義務はないと主張した。ただ最高裁は、「受信契約をすべきとの判決が確定し、契約が成立した時が時効の起点になる」と判断。そのため時効が成立している受信料はなく、被告の男性はテレビを設置した時点からの受信料を支払うべきとした。

判決では公共放送と受信料制度について、司法としての見解も示された。「国民の知る権利を充足すべく採用され、その目的にかなう合理的なものである(中略)放送をめぐる環境の変化が生じつつあるとしても、なおその合理性が今日までに失われたとする事情も見いだせない」。だが、はたしてそう言い切れるのだろうか。

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