懸案の少子化対策が一気に前進した真の理由 木原誠二・小泉進次郎、「2兆円の核心」を語る

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――耳を傾けると認可と認可外、あるいは保育園と幼稚園の間で利害対立が起こるかもしれない。

小泉:子どもに対する予算の拡充を求めていたさまざまなプレーヤーがいる。幼稚園業界、保育園業界、そしてそのさまざまな子ども向けサービスをやっている事業者側とか、いろんな方々がいっぱいいる。だけど、優先順位などを決めるなかで対立構造を生むことがないようにしていきたい。

今回大きく理解を求めたいのは、消費税の振り分け方を、使い道を変えるということまでして、兆円単位の額の予算を子ども向けに確保した。これはとてつもないことなんだ、ということ。子ども向け予算を増やすことはみんな望んできたことで、それを実現できたわけだ。だからこそ、味方同士がいがみ合うような形には決して変えてはいけない。まさにそうさせない理解の求め方をこれからしていかなければ、と思う。

幼児教育の義務教育化についても議論していく

――幼児教育を無償化するのであればカリキュラムの品質についてはやはりチェックしなきゃいけないですよね。自由すぎる教育をやっている場合もありますから。

小泉 進次郎(こいずみ しんじろう)/衆議院議員、自民党「人生100年時代戦略本部」事務局長。1981年生まれ、神奈川県出身。関東学院大学経済学部卒業、米・コロンビア大学大学院政治学部修士号取得。米国戦略国際問題研究所研究員、衆議院議員秘書を経て、2009年に初当選。内閣府大臣政務官、復興大臣政務官、党農林部会長、党筆頭副幹事長などを歴任(撮影:今井康一)

木原:義務教育化に向かうべきだ、という議論もした。ただ、今の段階ではまだそこまでいっていないので、まずは無償化。そういう意味で言うと、あんまり頑なに縛るというよりは、ある程度それぞれの園、それぞれの施設、ある程度自由と特色を持ってもらうというのは大切だというのが現段階の結論だ。

他方で、これは「人生100年時代」という中での議論でもある。これから人生100年時代を生きる中で、3〜5歳の幼児期から備えておかなければいけない要素があるのではないか、と。たとえば情報通信の技術であったり、あるいは情操教育や非認知能力を高めさせるような教育。そういったことは質の問題として議論していく必要はあると思う。小中校みたいにカリキュラムを決めるものではないが、質の議論はちゃんとしなくちゃいけない。

小泉:今後、研究を進めて、人工知能をはじめとする技術が進化していく時代に子どもたちに提供しなければいけない教育の中身を確立できれば、義務教育化の話が自然と出てくる。今回、画期的なのは、取りまとめの中に義務教育年齢を引き下げることの是非についても書いた。これはおそらく日本初のことだ。

――何歳から義務教育になるのがよいのでしょうか。3歳からですか。

小泉:現在、3歳から義務教育にしている国は世界どこもない。3歳から無償化はフランスでやっていますが義務化ではない。イギリスは5歳から。これから海外の事例もしっかり研究していきたい。

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