「失敗する起業家」に共通して欠けている視点 間違った意思決定が悲劇を招く

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――アイデアはプランAでなくプランBでもいい?

アイデアは確かに重要だが、大切なのは実行だ。アイデアを教えたら盗まれそうだと隠したり、逆に諜報したりするのも意味がない。プランAという呼び方をしているものがB、C、Dとどんどんバージョンアップしていくことにポイントがある。ビジョン以外はいくらでもピボット(軌道修正)できる。アイデアで大事なのは仮説としているお客がいるのかどうか。そこの最低限のリサーチをし続ける。

――狙いは簡潔に。

核心をつくことだ。事業についても3つの言葉で表せると思っている。「誰が」「何を」「どのように」で。つまり誰の、どのような困りごとを、どのように解決するか、の3つが事業の80%を占め、残りの20%にどんなソリューションでやるかが入ることになる。どんなビジネスモデルにするのかは、実はさまつなことなのだ。

スタートアップをするにあたって大事なこと

――課題そのものの質も上げるのですね。

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スタートアップをするにあたって大事なのは、人生をかけて課題を解決したいと本気で思うかどうか。覚悟がないのにやってしまうと、その人は不幸になる。やりたくもない課題解決を自らに課すのではなく、むしろ課題を磨き上げる。言い方を変えれば、自分の課題として深く共感するものに仕立て上げ、問い続ける必要がある。

――顧客の欲しがるものを地道に作りながら。

スタートアップやベンチャーは地道な活動。データを取りながら日々改善していく。定量化し、どこがネックになっているのか探索する。カスタマーの行動をベースにして因数分解していく。自分の事業がよくわかっていれば因数分解できる。スライドなどで意図的にビジュアル化するのはチーム間の、つまり創業者間の共通理解を増やすためもある。

経営は創業者の質で決まる。ある程度のスケールになった際の一番のネックは経営者自身。経営者はスーパー人材であり、何でもやっていい。それがしばらくすると一番の弱みになる。いかに委譲していくか。そのためにも、前段としてあらゆることを定量化したり可視化したりすることをこの時点で習慣にしておきたいものだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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