講義中の「パソコン」が学習効率を下げるワケ 紙とペンのほうが効率アップという結果も

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だが、少人数制のクラスで授業が行われる陸軍士官学校においては、ノートパソコンのマイナス影響はあったとしても大教室で講義を行う学校より少ないのではというのが大方の予想だろう。そのうえ、学生時代の成績が卒業後の地位に大きく影響するため、士官候補生はいい成績を取ることや集中して授業を受けることに非常に意欲的だ。

この疑問を解く最もいい方法はたぶん、もっと多くの大学でノートパソコンの使用について調べることだろう。だがそれを待つまでもなく、これまでに得られた証拠で電子機器の禁止という私の決断の正しさは十分に裏付けられていると思う。

学習障害がある学生をどうするか

ただし大きな例外が1つある。学習障害のある学生が授業に参加するために必要なら使用を認めるつもりだ。ただしそうすると、電子機器を使っている学生は学習障害があることがわかってしまう。

試験時間を延長する措置と同様、当該の学生にとってはプライバシーが失われることになる。そうしたマイナス点は、ノートパソコン使用が他の学生の学習に与える悪影響とあわせて検討しなければならない。

ノートパソコンの使用禁止に対しては、コンピュータにノートを保存することができなくなると異議を唱える学生もいるかもしれない。だがスマートフォンを使えば手書きのノートの写真を撮り、電子フォーマットに変換することもできる。授業の後で手書きのノートを見直してパソコンに入力するのもいい勉強になる。

現時点で手に入る最良の証拠は、講義の最中はノートパソコンを使わず、ペンを持つべきだということを示している。同じことは中学や高校の授業、そして職場の会議にも当てはまると考えても飛躍にはならないはずだ。

(執筆:Susan Dynarskiミネソタ大学教授、翻訳:村井裕美)

(c) 2017 New York Times News Service

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