米国人が悩む職場でのセクハラの「境界線」 #MeTooムーブメントで広がる男性の不安
こうした事態に、一部の男性は社内で男性のみのメールグループを作ったり、セクハラ問題について業界内で議論する場を設けたりしている。親しくすることとセクハラとの境界線は紙一重だと感じているため、女性との接し方にはかなり慎重にするつもりだと彼らは言う。
マリファナ薬局向けのプラットフォーム、ベイカー・テクノロジーズの創業者でデンバーで暮らすジョエル・ミルトン(30)は、「#MeToo」の告発のうねりを受けて、社外での集まりにはより慎重になろうと心に決めたという。
女性とハグするのは許されるのか
「チームの誰かがプールパーティを開くと聞いたら、今なら『マネジャーは出席しないように』と言う」とミルトンは明かす。以前はセクハラについて深く考えていなかったが、今は自分の過去の振る舞いを振り返っているという。「自分は何かしただろうか、とね」とミルトンは言う。
多くの企業は以前からハラスメント問題の対策として男女共に研修を受けることを義務づけてきた。しかし、米雇用機会均等委員会(EEOC)の昨年の報告書によれば、そうした研修の大半は有効ではなく、職場でのハラスメントの報告は実際よりも少ないという。
EEOCのハラスメントに関する作業部会に参加していた弁護士のジョナサン・シーガルのもとには、職場でどんな態度をとるべきかという質問が男性たちから寄せられている。フロリダ州パームビーチで最近開催されたイベントでは、女性とハグをするのは許されるのか、境界線はどこに引くべきなのかとの質問が上がった。
シーガルは、そのときの状況が重要で、同僚との親密さとセクハラとの間にグレーゾーンがあるふりをするのは間違っていると答えた。その一例として、古くからの友人にハグをするのと、デスクでパソコンをしている同僚女性に後ろから近づくのとはまったく違うと伝えたのだという。