米国人が悩む職場でのセクハラの「境界線」 #MeTooムーブメントで広がる男性の不安

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「オフィスでこう言った。『みんな、聞きたいことがある。セクハラなどがここでも起きるのではと不安に思ったことがあるだろうか?』」と、レンチオーニは振り返る。「社員たちは『いいえ。私たちはあなたがどんな人か知っているから』と答えた」。

職場のハラスメントについて必要な知識はすでに把握しているため、それについて誰とも話していないという人もいる。「ここはリベラルな街だ」と、カリフォルニア州ウォルナット・クリークで不動産業に携わっているフィリップ・ロンテルは言う。

「#MeToo」運動を支持しているというロンテルは、「こうしたことは私たちはすでに承知している」と話す。

クリスマスパーティが危ない

一部の男性は、職場のセクハラについて語り合いたいと思っても、どこに行けばいいのかわからないと言う。「そういう会話が許される場を知らない」と、カリフォルニア州サンタモニカにあるeコマース会社のセールスマネジャー、ライアン・エリス(33)は言う。

女性たちが不適切な行為を非難する力を得たことで、今年はアルコール付きのクリスマスパーティが火種になりそうだと一部の企業は見ている。グーグルやウエストエルムなどを顧客に持つニューヨークのイベント会社「23 Layers」の業務担当バイスプレジデント、サラ・フリードマンによると、多くの企業はこれまで木曜日か金曜日の夜にパーティを開いていたが、月曜日の夜か火曜日の午後に変更する企業も出てきているという。

オープンバーはゲームゾーンに取って代わる。あるクライアントはパーティのドリンクはウオツカレモネードの「ジョン・デイリー」をめいっぱい水で薄めたものにするよう依頼してきたという。フリードマンは、変わったリクエストだがおそらく賢明だと思った。

仕事の後のイベントはハラスメントの「最前線」であり、企業はいま「より安全な予防策」を求めているとフリードマンは言う。

(執筆:Nellie Bowles記者、翻訳:中丸碧)

(C)2017 The New York Times News Services 

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