あらためて、2018年はどんな年になるのか。エコノミスト稼業としては、この12月は勝負どころである。来年向けの飯のタネ、「2018年の経済展望」を完成させなければならないのだ。同業者の間では、すでにこんな会話が飛び交っている。
問題は2018年ではなく、2019年?
「2018年は心配ないよ。海外経済がいいから。今はとっても久しぶりの輸出主導型の回復局面だね。特に半導体関係が驚くほどいい」
「個人消費も、言われているほど悪くはない。10月の総選挙でも、『回復の実感がない』とは言ってだけど、『景気が悪い』と嘆いている人はほとんどいなかった」
「2018年度の税収見込みは58兆円超で、1991年度の59.8兆円以来。文字通りバブル期以来の好調さだ。もっともこの間に社会保障費などの歳出が増えちゃったので、財政赤字の拡大は止まらないんだけど」
「2018年は国政選挙の予定もない。問題はその次の2019年なんだよなあ。再来年は統一地方選挙(4月)と参議院選挙(7月)が必ず重なる亥年。しかも10月には消費税の増税(8%→10%)が控えている。東京五輪関連の建設需要も一段落しているだろう。そのタイミングで日銀が出口政策へ、てなことになったら大変だよ」
「2018年はいいけど、19年が怖い。できれば来年中にやっておきたいことも、どんどん19年に先送りされている。畏れ多いことながら、改元だって本当は2018年末にやってくれれば西暦との換算が楽になるのに、2019年5月1日からになっちゃったからなあ」
「安倍首相が意欲を見せている憲法改正も、来年いっぱいは国会で議論するだけらしい。2019年の通常国会で発議して、参院選と併せて国民投票を行うんだとか。アジェンダが多過ぎて、今から2019年が怖くなるよ」
つまり「先憂後楽」ならぬ「先楽後憂」。2018年はとりあえず心配が少ない。その代わり、2019年は保証できませんよ、ということになる。
もっとも当「市場深読み劇場」読者からは、「そんな先のことはいいから、目先のマーケットを予測しろ」との声があるだろう。ようがす。予想しやしょう。その代わり、投資は自己責任でお願いしますよ。
まずは直近の米国市場だが、上院では税制改革法案がヤマ場を迎えている。ここまで来たからには通るだろうし、下院法案との調整も何とかなると見る。政治とは妥協の技術なり。それはもちろん、米国経済にとってグッドニュースであるし、トランプ大統領にとってはほとんど初めての内政上の成果となるだろう。
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