3つ目は政治資金に関するものだ。政治献金には、厳格な規制や透明性の確保があってしかるべきだ。ところが、連邦最高裁判所が2010年に下した判決によって、これは著しく困難になった。最高裁は、選挙のための政治献金がたとえ企業からのものであっても、憲法が保障する言論の自由として保護されるべき、と断じたのだ。その後の7年間で大口献金者による秘密寄付が急増したのは当然だ。
政治資金に対する州レベルの規制は、これと大きく異なる。州議会選挙に関する献金については、全米50州のすべてで情報開示が求められており、39の州は個人献金に上限を設定。22の州が一切の企業献金を禁じている。
党派を超えた問題解決が困難になっている
米国の民主主義を脅かす4つ目の構造的脅威は、立法プロセスが党派的な思惑によって操作されていることだ。連邦議会では、過半数を占める政党が自らに有利となるよう立法ルールを変更することが日常化している。こうした状況では、超党派による問題解決はほぼ不可能だ。
州レベルでも、予算案や税制関連法案の通過に必要な得票数を任意で設定するスーパーマジョリティの仕組みや、利益団体がスポンサーとなって行われる住民発議によって、党派を超えた問題解決が難しくなっている。
だが、カリフォルニア州が示すように、民主主義に対する構造的な障壁を取り除くことは可能だ。同州議会は近年、選挙区の区割りを整理し、同じ政党の候補同士であっても本選挙に進出できる「トップ・ツー・プライマリーズ」という予備選挙制度を導入。政治資金については強力な情報開示の仕組みを取り入れた。議員任期の上限も変更され、州予算案におけるスーパーマジョリティの規定は撤廃、住民発議のプロセスも見直した。
その結果、州議会に対する支持率は7年前の14%から57%へと上昇。1988年以来の高水準となっている。
連邦議会に自浄を期待するのは難しいが、自治体レベルの改革に勢いがつけば、連邦議員も永遠に現状維持を続けることはできなくなるだろう。カリフォルニア州がやれたのなら、ほかの州にだってできるはずだ。
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