私が涼子さんに出した回答は、以下です。読者の皆さんにもわかりやすいように、一部解説を加えます。
結論から申し上げます。金額にかかわらず、家を買うのは反対です。まだ若い涼子さんが、お母様の老後のために借金を背負う必要はありません。
自分が望む方法でキャリア形成をしていき、なるべく広い可能性を持つことができるように、人生を生きていくべきです。今後の足かせになるような借金をすべきではありません。
母親が少しでも安心して暮らせるようにするには?
とはいえ、お母様も、伴侶を亡くされて不安なのでしょう。しっかりした娘に頼りたいという気持ちもわかります。まずは、お母様が安心して暮らせるように考えてみましょう。
まず、最も頼りになる年金ですが、残念ながら、お母様は、過去に年金保険料が未納で、現在、年金がもらえるようになる「保険料納付済期間10年」(2017年8月から施行された制度。従来は通算で25年間納付していないともらえなかった)の条件を満たすために、後納していますね。
お母様の場合、過去2年間と後納3年間分を支払い、62歳まで保険料を納付すれば、保険料納付済期間10年を満たせますので、若い時の厚生年金と合わせて、月額2万円の年金(年間24万円)を受給することができます。この年金の額を、さらに増やすことを考えてみましょう。
まず、62歳で保険料の納付を終了せず、65歳まで納付を続けると、年金額は年間約6万円増えます。また、国民年金保険料のほかに月額400円の付加保険料を納めることで、「200円×付加保険料納付月数」の付加年金を受け取ることができます。
まもなく59歳を迎えるお母様の場合は、65歳まであと6年ほど(今後72カ月間)保険料を納めることができるので、年間1万4400円(200×72カ月分)を生涯受け取ることができます。これで、もともとの24万円から7万4400円増え、年金受給額は31万4400円です。
さらに、年金受給の開始を繰り下げることで、「繰り下げた月数×0.7%」が増額され、この増額率が一生続きます。お母様が、70歳まで年金受給を繰り下げれば、年金額は42%増えて、44万6448円になります。月額にすると、約3万7000円です。
お母様自身の月の手取りは10万円ほどですから、年間は120万円ですね。70歳まで年金受給を繰り下げますので、現在の年間120万円の収入は確保しなくてはなりません。それを前提にして、老後に取り崩してもよい金額を見える化する「老後設計の基本公式」で、お母様の老後の生活費がどのくらい確保できるのかを計算してみましょう。
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