「問題のデパート」欧州をドイツは救えるのか 欧州の旗手にさえ「衰退」の兆候
AfDは移民政策に強固に反対し、選挙期間中は、妊娠した白人のドイツ人女性が「新しいドイツ人? 私たち自身で作っていきます」とスローガンを掲げるポスターで強烈にアピールした。
このような分裂によって、ドイツが不安定な政治期へ向かうだけでなく、その影響はドイツが戦後長らく政治的に影響を及ぼしてきた地域にも波及するおそれがある。つまり、中央政権は持ちこたえ、反ファシズムはドイツ社会の構造の一部であり、民主主義へ再参入するという合意が危うくなるのである。
EUが向き合わないといけない問題
別の問題もある。EUは現在、英国と離脱交渉を行っているが、EUを構成する残りの27の加盟国は、離脱した英国に不満を募らせている。こうした中、EUは今、率直な話し合いや、組織内外の弱点と課題に立ち向かうことを求められている。そして、加盟国はもちろん、独立した国ともより密接な関係を築くことが不可能であるということに向き合わなければならないのだ。
ドイツの衰退は、一時的なものであると考えられる。ドイツは欧州で最も経済的な成功を収めており、よく統率された国家でもあるからだ。メルケル首相は依然として最も人気のある政治家で、合理的かつ慎重なメルケル政権に対する評判も高い。彼女は、ドイツが引き続き、EUに貢献する政府であり続けることを約束している。
しかし、最近欧州でさまざまな問題が発生していることに対しては、迅速な対処と行動が必要である。EUが密な関係を作り上げることが荒唐無稽であるとするならば、どんな形の連合ならば今の時代に合っているのか。
「新しい形」の連合が創造され、それに向けた合意がなされるような夢がかなう日がくれば、国家間の緊張感は消えてなくなり、多様な欧州を認める新しい枠組みが作られることだろう。
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