ムハンマド皇太子は一体何を狙っているのか 異変の最初の兆候は1通の書簡だった
[ベイルート/リヤド 10日 ロイター] - 何か異変が起きているという最初の兆候は、1通の書簡にあった。サウジアラビアの首都リヤドにある高級ホテル、リッツカールトンの宿泊客らは4日、次のような通告を受けた。
「地元当局よりセキュリティ強化を要する予期せぬ予約が入ったため、通常営業に戻るまで、お部屋をご用意できなくなりました」とそこには書かれていた。
このときすでに粛清は始まっていた。数時間内には、治安部隊が主に首都リヤドと沿岸都市ジェッダで、サウジ政財界のエリート数十名を拘束。なかには、11人の王族のほか、閣僚や富豪が含まれていた。
リッツカールトンホテルは「監獄」になった
一部は、拘束現場での会合に招かれていた。自宅で逮捕された人々は、飛行機でリヤドまで、それから自動車でリッツカールトンまで護送された。こうして同ホテルは一時的な監獄となった。
拘束された人々は、自宅に1回だけ、短時間の電話を掛けることが許された、と逮捕状況に詳しい関係者がロイターに語った。
「外部からの着信に応じることは許されず、厳重な警備下に置かれた。誰も出入りすることは許されなかった」とこの関係者は語る。「よく準備されていたことは明らかだ」
今回の汚職摘発を命じたのは、サルマン国王の息子ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)だ。国王の公式の継承者となった同皇太子は、現在、実質的に国家を運営する立場にあり、サウジを現代国家へと改革することを表明している。