観光で苦戦する地方が陥る「幕の内弁当」の罠 外国人客にスルーされるのには理由がある
さらには、東京や北海道という「豪華・幕の内弁当」の前では、どうしても色あせて見えてしまいますし、東京・富士山・京都・大阪などが詰め込まれたゴールデンルートという日本最強の「スーパー幕の内弁当」の前では、まったく太刀打ちできません。
実際に、日本に年間約2400万が来る外国人旅行者のほとんどは、東京・大阪などの有名観光地に集中して訪れます。地方に押し寄せる外国人を報道などで見ることがあると思いますが、実態としてはなかなか地方を旅先として選んでくれてはいないのです。
観光庁「宿泊旅行統計調査」によれば、2016年の外国人旅行者のうち、約半分が東京・大阪・京都に集中しています。さらに、北海道や沖縄、ゴールデンルートの都市などの上位10県に訪日旅行者の約80%が宿泊しています。
このデータは、あくまで宿泊統計であり、日帰りで地方に行く外国人旅行者や、地方の空港から入国してそのまま他県に移動してしまった分は入っていません。それでも、今の日本のインバウンドがいかに有名観光地に集中しているかはイメージできると思います。
幕の内弁当から地域ならでは「逸品弁当」へ
このように、訪日外国人の80%が東京・京都・大阪などの有名観光地に集中する中で、地方のインバウンドが目指すべきは、「いろいろあります!」という「幕の内弁当」ではなく、オンリーワンの「逸品弁当」を作ることです。
繰り返しになりますが、豪華版やスーパー幕の内弁当に負けない旅先になるためには、埼玉=世界の「盆栽/BONSAI好き」、瀬戸内=旅慣れた「Educated Traveler」のように、自分たちの地域に来てほしい旅人(=それをどんな人に食べてほしいか)を具体的にイメージすることが必要です。そして多様な地域の魅力から、海外の人たちに体験してほしい逸品を絞り込んでいくことで、地方のインバウンドに新しいチャンスが広がっていくはずなのです。
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