一方で……、サウジアラビアも大変な事態となっています。
報道によると、富豪のアルワリード王子、ムトゥイブ国家警備隊相ら11人の王族と4人の現職閣僚を含む約50人を逮捕するという、まさに衝撃の事態となりました。
サルマン皇太子(MbS)が、ついに動いた
この逮捕劇での主役は腐敗防止最高委員会で、そのトップに立つムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子です(以下MbS、現国王の子)。その後、現国王の弟であるムクリン元皇太子の息子マンスール氏が謎の墜落死をとげる、という事件まであり、これが普通の事故と思っている関係者は皆無です。
ウォールストリートではアメリカでも有名な投資家であるアルワリード王子の逮捕が大きく取り上げられていますが、なんといってもこのMbS の動きが注目です。
宣伝になってしまいますが、わたくしのHP(グッチーポスト)においてJDというペンネームで記事を書いている、いうなれば「外交ディープスロート」のような男がおりまして、ここで彼が詳しく解説しているので、ぜひ読んでいただきたいのですが(有料です……笑)、こちらでまとめて書いておくと、今回のこの一連の動きは、これまでのサウジにおけるタブーを完全に破り、近代国家への転換を図りたい、というMbS の野望が一気に展開した、というような状況で、今後中近東において大きな流れが変わる潮目になる可能性があるのです。
これまでの経緯を簡単にお話しすると、サウジでは、このMbS皇太子が次期帝王となるべく、さまざまな動きをこれまでもしてきました。読者のみなさんのために簡単に整理します。
2015年1月、第6代国王のアブドッラーが逝去し、アブドッラーの弟であるサルマン現国王が第7代として即位します。このとき、アブドッラーの遺言により、皇太子にはアブドッラーの弟であるムクリン、副皇太子にはアブドッラーの甥であるムハンマド・ビン・ナイフ(MbN)が就任したのですが、同時に7代の子供であるMbSは30歳の若さで国防相に就任。さらに新設の経済最高開発評議会のトップに就任となり、ここで一気にきな臭くなります。
非常に興味深かったのはこのMbSは、米国、中国、ロシア、日本など主要国に外遊して次々にトップと会談。父のサルマン国王およびMbNはどっかに行ってしまったような様相で、これはひと波乱あるな、と思われていた矢先、MbNが解任され、MbSが皇太子になるという泥沼の権力闘争がスタートしたわけです。
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