「MBA」と「中小企業診断士」、使えるのはどっち 学習内容は近いが、学び方・費用・その後に差
しかし、学び方には大きな違いがあります。MBAは、通学形式がほとんどであり、過去の企業実例を講義に取り入れながらディスカッションなどで知識を深めていくケーススタディ方式がほとんどであるのに対し、中小企業診断士の勉強は、多くの場合、1人での座学になります。
そもそも中小企業診断士の受験生は、仕事の傍ら勉強に励む方が圧倒的多数なため、夜や朝の空いた時間に1人孤独にテキストや問題集に取り組むスタイルになってしまうのです。予備校に通わず、独学で勉強する人が多いのも中小企業診断士の特徴です。
費用面では中小企業診断士が圧倒的に安く、予備校を利用した場合でも20万~40万円ほど、完全に独学の場合にはテキストや参考書代のみの負担になります。一方、MBAは国立でも100万円ほど、私立になれば数百万円、海外に行く場合には数千万円と大きく費用が異なってきます。
MBAを選ばず中小企業診断士の道を選ぶ人の中には、「金銭面」の問題を抱える方がいるのも事実です。しかし、どちらの道を選ぶかにより「人脈」が異なってきますので、長期的に見てどちらに経済合理性があるかはその人次第と言えます。
難易度は単純比較できない
また、MBAと中小企業診断士の難易度を比べる人がいますが、簡単に比べることはできません。「卒業」までの過程が大きく異なるためです。
MBAは、選抜試験を突破したとしても、卒業要件の壁があり、単位取得の過程で挫折してしまう人が少なくありません。私の知り合いにも、仕事との両立の兼ね合いや、家庭の事情により中退を選んだ人が少なからずいます。また何より、国内から海外まで大学によってレベルはさまざまであるため、MBAと一言で言っても、難易度の差が生じてきます。
他方、中小企業診断士には入学や単位などの通過点はなく、「試験合格」の一点が突破口です。勉強もある程度自分のペースで進めることができますので、単位に追われることもありません(「試験日」というお尻はありますが)。ただし、経営コンサルタントとして唯一の国家資格であるだけあって、合格率は4%前後と難関です。
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