GDPの7期連続プラス成長をどう捉えるべきか 個人消費が弱く、企業の設備投資も限定的
11月15日、内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.4%増となった。
市場コンセンサスよりも0.1%ポイント下回ったものの、ほぼ予想通り。中身もほぼ予想通りだ。寄与度で見ると、民間最終消費が0.3ポイントのマイナス、政府需要が0.2ポイントのマイナスと弱かったが、グローバルな景気拡大を背景に、純輸出(財・サービスの輸出から輸入を差し引いたもの)が0.5ポイントのプラス。これを背景に設備投資が伸び、民間在庫増加がプラス0.2ポイントの押し上げ効果となった。外需とこれに牽引された企業部門が、国内消費の不調を補った形だ。
日本のプラス成長はこれで7四半期連続。日本銀行の試算によれば日本の潜在成長率は0.8%前後であり、これを上回る成長が続いている。需給ギャップ(総需要と総供給の差)を見ると、2016年第4四半期からプラスに転じている。
しかし、これは成長の天井が低くなる中で、需要が弱いにもかかわらず、人手不足などの供給制約で簡単に天井にぶつかってしまうためだ。内容としては外需頼みで、弱い成長といえる。
正社員の賃金が上がらず、物価も上がらない
だから、失業率は2.8%と完全雇用で人手不足が話題になっているにもかかわらず、企業はなかなか思い切った賃上げをしない。非正規雇用の賃金は上昇しているが、正規雇用の賃金上昇は鈍い。将来に渡って国内需要の拡大は見込めないので、製品やサービスの値上げにも慎重となり、固定費となる正社員の給与を上げるわけにもいかないという見通しになってしまう。だからなかなか消費も増えない。
賃金も物価も上がらず、消費者物価指数は生鮮食品を除く総合でも前年比0.0~0.1%が続き、日本銀行の掲げる2%目標は遠のくばかりだ。
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