GDPの7期連続プラス成長をどう捉えるべきか 個人消費が弱く、企業の設備投資も限定的

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海外経済に牽引されて、企業の設備投資は今後も伸びるのだろうか。日本銀行短観(9月調査)によれば、2017年度の製造業の設備投資計画(ソフトウエア・研究開発を含み、土地投資を除く)は、全規模で前年度比8.2%と意欲的だ。しかし、資金循環統計でみると企業の資金余剰は続いており、依然として大幅な設備投資を行っているわけではない。

限定的な低金利政策の効果

企業の姿勢については、銀行の貸出動向をみるとある傾向がわかる。国内銀行の総貸出平均残高の伸び率は、2013年4月に異次元緩和が導入されて金利の低下が進む過程で高まったが、2015年には頭打ちとなり、反落してきた。その後、2016年2月からマイナス金利政策が導入されると再び勢いがついた。しかし、2016年9月に日本銀行がイールドカーブ・コントロール政策を導入して金利をくぎ付けにする政策に転換し、金利が低位ながらやや下げ止まってきたためか、足元では貸出残高が伸び悩んでいる。

つまり、企業側から見れば旺盛な資金需要に裏打ちされての借り入れではなく、金利が安いから借りておこうという動きであるに過ぎないことがうかがえる。むしろ、低金利の長期化がかえって、成長力のない弱い企業を延命させて、産業の新陳代謝を滞らせ、日本の生産性を押し下げているのではないかとも指摘される。

中国経済の安定化を背景に、世界経済は緩やかに拡大している(IMF見通しで2017年は3.6%、2018年は3.7%)。それに引っ張られる形で日本経済も緩やかに拡大しているが、内需が盛り上がらない中、現状以上に成長率が上昇するような局面は期待できそうもない。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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