ただし、すべての年齢を対象とすると不正確になります。なぜならば、50代以上の「夫婦のみ世帯」とは、現在は子と同居していないが、子どもが独立した結果「夫婦のみ」となっている場合も考えられるからです。事実、高齢者世帯の「夫婦のみ世帯」比率は高い。また、20~49歳で区切って見ても、20~40代前半までの夫婦はこれから子どもを産む可能性もあります。よって、45~49歳の夫婦のみ世帯の男女をみなし無子夫婦と仮定して算出をすることとしました。生涯未婚率は45~54歳の未婚率の平均ですが、無子率推計には前述した理由により50代以上は除きます。なお、生涯未婚者の中には未婚のまま子を持った人も含まれますが、今回の推計では考慮しないものとします。
これで見ると、45~49歳の夫婦のみ世帯に属する男女の構成比は2010年も2015年もほぼ10%前後であることがわかりました。つまり、未婚率プラス10%程度が生涯無子率ということになります。2015年の実績で言えば、男35.8%、女27.3%が生涯子無しということになるのです。男女で10%の差が発生するのは、生涯未婚率でも同様ですが、男女未婚者の人口差によるものと再婚形態の違いによるものです(これについては2017年5月26日配信の「未婚男が割を食う『バツあり男』の再婚事情」で詳しく書いています)。
ちなみに、やや古い資料となりますが、国立社会保障・人口問題研究所が2006年時点で出した年代別女性の無子割合の試算は以下の通りでした。どうして女性のみかというと、男性の場合は離婚などした場合に、その男性が無子だったのか有子だったのか判別つかないからです。
これで見ると、私が試算したのと同じ2015年時点で45~49歳に当たるのは、1970年生まれの女性ということになり、それで見ると生涯未婚率17.9%、既婚無子率13.5%となっています。これらを合わせると31.4%となり、私の試算した27.3%より4%程度高いですが、この2006年時点での生涯未婚率予測が17.9%と2015年国勢調査数値より4%近く高めに出ていることを考えると、国の試算と私の試算はほぼ同等と見ていいでしょう。
子無し夫婦は40年間で3倍に
このグラフで「既婚無子率」の推移に注目していただきたいと思います。1950年生まれの女性ではわずか4.8%だったものが、1990年生まれの女性では13.8%と、40年間でほぼ3倍に増えています。結婚しても子どもを持たない女性および夫婦が増加傾向であることは明らかで、今後「合計結婚出生率」への影響も懸念されます。
少子化の原因は決して未婚者の増加だけではないのです。結婚しさえすれば、少子化は解消できるというのは幻想にすぎないことがわかります。少子化について考えるならば、今後はこの「生涯無子率」という指標も念頭におく必要があると考えます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら