三菱ケミカル「食品包装フィルム」が強いワケ ハム、サラダチキンから米飯、漬け物まで
こうした技術・対応力によって、三菱ケミカルは深絞り包装用フィルムで断トツのシェアを獲得。主要なナショナルブランドの食肉加工品を例に取ると、そのシェアは5割を超えるという。低糖質食品としてコンビニの定番商品になったサラダチキンにしても、大抵は同社製フィルムを用いたパッケージだ。
年率2~3%増の安定成長
多層化フィルムに次ぐ大きな柱が、樹脂フィルムの上にシリカ(ケイ素酸化物)を真空蒸着させたハイガスバリアフィルム。酸素や水蒸気の遮断性が高く、6カ月~2年程度の長期保存食品に適している。印刷や製袋などの加工もしやすく、レンジなどで加熱できるタイプもある。アルミ箔を用いたレトルト包装の代替品として採用が広がり、米飯パックやシロップ漬けフルーツ、洋菓子、漬け物など多用途のパッケージに使われている。
また、調味料用途を中心とした特殊PETボトルも展開。飲料などに使用されている一般的なPETボトルは、ガラス瓶に比べると酸素を通しやすく、長期保存には適さない。三菱ケミカルが手掛けるPETボトルは、内側にプラズマコーティングを施した特殊品。通常のPETボトルに比べ10倍の酸素遮断性があり、有名ブランドの調味料やメルシャンのワイン、高級コーヒー豆店の保存容器などに採用されている。
足元の事業環境は堅調。高齢化や単身世帯の増加、女性の社会進出により、総菜類など調理済み食品の需要が増え、国内の食品包装フィルム市場は年率2~3%増の安定成長が続いている。電子レンジ対応包装や賞味期限を延長できるハイバリア包装(酸素などを通しにくい高遮断性包装)など、高機能パッケージのニーズが高まっている点も三菱ケミカルにとっては追い風になっている。
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