メジャー51勝投手が14球団で感じた夢と現実 ドラフトから始まるおカネと契約のリアル
しかし、密約説や裏金問題など負のイメージがつきまとったことも事実です。そこで、現在は再び本来の趣旨に基づき、人気選手に指名が重複した場合でも抽選が実施されるようになっています。
契約金も1億円と出来高が最大で5000万円、年俸は1500万円が上限と定められています。
メジャーにはかつて契約金に上限の規定はなく、2009年にドラフト全体1位で指名された大学生のスティーブン・ストラスバーグ投手は難交渉の末に契約金750万ドル(当時のレートで約7.5億円)に4年契約の年俸を加えて総額1510万ドル(同約15億円)で契約したケースもあります。2012年以降の現行ルールでは上限が設定されていますが、それでもドラフトの上位指名選手は、日本のドラフト1位選手の何倍もの契約金を手にすることができます。
また、ドラフト会議とは違いますが、メジャーが2016年秋に選手会と合意した新労使協定による規定では、アメリカ、カナダ、プエルトリコを除く25歳未満の海外選手を獲得する際、メジャー球団が選手に支払える総額の上限があり、しかもマイナー契約となることが決まりました。
若手のキューバ選手との大型契約を抑制する狙いがあるとされていますが、日本ハムファイターズの大谷翔平選手のような日本のスター選手がポスティングシステムでメジャーに挑戦する際にも、この条件が適用されるようになっています。
私が経験したドラフト会議
私が指名されたときのドラフト会議は、1993年11月20日に行われました。このとき、横浜からドラフト3位で指名を受けました。この年のドラフト会議では、初めて大学、社会人の選手は希望球団を逆指名できる新方式が採用されました。3位以下の指名は前年下位チームから指名し、自動的に選択権が与えられたのです。4位は上位チームからと完全ウェーバー方式で、重複によるくじ抽選はありませんでした。
ドラフト当日は土曜日でした。事前の新聞報道などでドラフト指名される可能性があったため、授業を少し早く切り上げて、校内に用意された記者会見場へ移動して待機していました。上位が既定路線の逆指名だったため、盛り上がるのは3位以下となっていました。高校生選手にとっても、ここからが緊張の時間帯でした。そんな中で、横浜がドラフト3位で指名してくれたのです。自分の名前がテレビでアナウンスされ、安堵の表情を浮かべたことを覚えています。
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