神鋼改ざんの影響と「再編可能性」を検証する 中間決算は大幅な増益の見通しだが・・・

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そもそも、神鋼の業績不振は最近始まったことではない。過去10年間でも半分の5期は最終赤字。過去20年間を見ても、半分近い9期が最終赤字だ。常に赤字が隣り合わせの慢性的赤字体質といっても過言ではない。

赤字の原因には鉄鋼事業を中心とした外部環境の悪化があるが、神鋼独自の要因もある。鉄鋼事業においては粗鋼生産量で1、2位と大きな差のある3位で、上工程において規模のメリットを出しにくい。低い生産性と収益性を引き上げるため、同社は現在、11月を目途に神戸製鉄所の高炉を休止して加古川製鉄所の2基に集約しようとしているところだ。

神戸製鋼所の東京本社。赤字体質が改ざんを助長した可能性もある(撮影:尾形文繁)

また、神鋼は自動車向けなど、特定顧客向けの「ひも付き商売」の割合が多い。汎用の市況品と比べて高級鋼が多いとはいえ、顧客の要求品質は高く、歩留まり悪化を起こしやすい。価格も顧客との厳しい交渉で決まり、利ザヤを稼ぎにくいとも指摘される。

建機事業でも神鋼はコマツ、日立建機に次ぐ国内3位で、生産性や競争力の面で劣勢にある。2015~2016年度は中国の建機事業の不良債権損失が最大の赤字要因となったが、与信管理の失敗が背景にあり、リスクに対する脇の甘さも否めない。

こうした赤字体質を助長するような今回の改ざん問題。競争力維持のための資金力確保に一段と不安が生じ、神鋼の自主独立路線維持は危うくなってきた。過去の総会屋への利益供与や違法献金を含め、不祥事を繰り返す企業体質を抜本的に見直す必要もある。

JFEは再編に前向き

「JFE(ホールディングス)がうちを魅力的に思うのはよくわかる。JFEは線材など特殊鋼が弱く、ハイテン(高張力鋼板)でも米国で出遅れている。だから、JFEからTOB(株式公開買い付け)をかけられた場合も含め、対策を考えているんですよ」。神鋼の幹部からそんな話を聞いたのは1年ぐらい前のことだった。

実際、JFEはその気十分に見える。2016年末に同社首脳に取材した際も、「再編は経営戦略の有力な手段。高炉業界で今後も起こりうる」としたうえで、「当社と神鋼とは補完関係がある。特に棒線(棒鋼・線材)の分野だ」と語っていた。ただ、「神鋼は依然として自主独立路線を標榜しており、今はそうした(再編の)タイミングではない」。あくまで友好的に、将来の機会到来を待つという構えだった。

JFEには焦りがある。2002年に当時の川崎製鉄とNKK(日本鋼管)が統合して誕生した後、統合効果も一段落し、近年は停滞感が強まっているためだ。

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