「偽装だらけ」の東洋ゴムは、復活できるのか 免震ゴムの関連特損で8期ぶりに赤字転落
2度あることは3度ある。3度あることは4度ある――。
タイヤ大手、東洋ゴム工業の不祥事が止まらない。2月7日、同社にとって4度目となる不正が明らかになった。船舶向けのバルブに使われる「シートリング」と呼ばれる産業用ゴム製品で必要な検査を行わずに出荷するなどの不正行為があったのだ。「メーカーとしてあるまじき不祥事。ただただ猛省しなければならない」。2月15日の決算説明会に出席した清水隆史社長は深々と頭を下げた。
東洋ゴムの不正の系譜は2007年に断熱パネルの耐火性能偽装が発覚したことに端を発する。その後2015年3月には建物の揺れを抑える免震ゴムの性能データでの偽装が、そして同年10月に鉄道車両などで使われる防振ゴムでの不正行為が明るみに出た。
再発防止策の下でも不正が継続
一方で今回不正が発覚したシートリングの納入先は1社のみ。この会社が製品をすべてチェックしたところ問題が見つからなかったため、業績への影響は軽微と見られる。ただ「検査が面倒」という理由で十分な回数の製品検査を実施せず、検査の成績表に過去のデータを転記したという工場の担当者の責任は重い。
対象となった期間は2009年3月から今年1月末までの過去8年間で、合計12万9000個にも及ぶという。つまり過去の不祥事を受けての再発防止策を進める中でも、不正が続いていた。
より深刻なのが免震ゴムのデータ改ざんである。建物にすでに使われているゴムの交換費用や改修工事費など、関連する特別損失が膨らみ、2月15日に発表された2016年12月期本決算は8期ぶり、リーマンショック以来の最終赤字へと転落した。問題が発覚して以降、8四半期連続で関連特損を計上し続けている。直近2016年10~12月期はこれまでで最大となる447億円の関連特損を出した。これで一連の特損は累計で1134億円となった。
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