そして2つ目が「仕事を超えた人としてのつながり」。高い帰属意識をもてる職場であること。具体的には、インナーブランディングが行われていることがとても重要です。
インナーブランディングとは、企業が従業員に対して、経営理念や会社のビジョンなどを浸透させること。ブランドブックと呼ばれる、会社の理念やビジョンに加えて、働きがいなどを社員に伝えるために制作物を作成して配布。さらに理解度を高めるワーキンググループで浸透を図ります。こうした取り組みによって、会社に対する帰属意識が格段に高まります。こうした取り組みなどの効果で帰属意識が高いと、不祥事で退職要因が発生しても、それをリカバーすることができる場合もあります。
お客様からの高い支持
それから、3つ目は「仕事自体に対して高いプライドを保てること」。たとえば、製品やサービス価値が高く、不祥事があってもなおお客様から高い支持を得ているとすれば、営業や製造も、
「自分の会社で不祥事は起きたが、誇るべきものもたくさんある」
と、仕事に対して前向きな姿勢を保つことができます。
筆者もリクルート事件では周囲から厳しいお言葉をいただきながら、それでも辞めなかったのは、お客様からの高い支持があったからであったような気がします。当時の営業現場で「君の会社は世間を騒がせているけど、サービスは高い価値があるから胸を張るべきだよ」と声をかけてくれるお客様がいました。こうした声が仕事に対するプライドを支えてくれたように記憶しています。
さて、このような3つの要因が会社にあれば、不祥事があっても退職者は(不祥事の規模にもよりますが)それほど出てこないのではないでしょうか? 会社が平穏なときには露見しないかもしれませんが、不祥事のような有事が起きる可能性はどの会社にもあります。社員が退職を思いとどまる要因を備えた職場環境の整備を目指すことが、これからますます重要になるのではないでしょうか。
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