営業の弱い会社はノウハウ共有ができてない 「型」を教え「自走力」をつけさせよう
私は野村証券時代に入社5年目くらいの支店の営業マンを集め、各自の営業テクニックを発表し合う「ナレッジシェア会」を主催したことがあります。ここでは面白いことに、誰かがユニークな営業手法を発表して会場がどよめくと、次の発表者はもっとすごいネタを出そうと取っておきのテクニックを発表するのです。
しかも、話を聴く側も全員普段から傾聴テクニックを磨いている営業ですから、ウンウンうなずいて、たまに「すごい」だの「さすが」だの相づちが入れば、発表者はどんどんしゃべるようになります。
社内でこうした会を毎週の定例にしてしまうと「晴れの舞台」感が激減してしまいますが、3カ月に1回くらいにすると、このような相乗効果が期待できます。何人もの営業が何年間もかけて磨き上げたセールストークを共有できたら、それだけで組織の営業力は相当上がるはずです。
ワールドカフェ形式の勉強会
ちなみに弊社の勉強会は「ワールド・カフェ・スタイル」を取っています。ワールドカフェとは、教育の分野などで新しいムーブメントとなっている「アクティブラーニング」で取り入れられている、参加者の主体的な議論を育むための勉強形式です。
ステップ①
参加者を4人ずつのグループに分ける。最初のグループで、ある議題に対しての意見交換を行ったあと、気づいたこと・発見したことをまとめながら紙に書き込んでいく。
ステップ②
その後、1人ホストを残し、残り3人がステップ①で書いた紙を見ながら、それぞれ興味のある別のグループに移動する。
ステップ③
新しいグループで、ホストが前の議論を共有し、新しい参加者たちは意見や考えを伝えながら、もともとの考えをブラッシュアップしていく。その内容を紙に書きながら深めていく。
ステップ④
元のグループに戻り、それぞれが2回目のグループで話し合ってきたことやその際に湧いたアイデアを持ち帰り、チームでの考えをまとめる。そして、最終的にそれぞれのグループごとの考えを全体で共有する。
このワールドカフェ形式の勉強会では、いろいな人とぶつかり合いながら知の結集が起こります。アイデアの「量」も担保できるうえ、それらが多様な価値観で磨き上げられるだけに、「質」も急激に高まっていくのです。
ワールド・カフェ・スタイルは議題を選びません。たとえばビジネス書の読書会であれば「この本から会社の業務にインパクトのある施策を生み出せないか?」といった議題、営業そのものについての議題であれば、「メールアプローチのKPIがなかなか達成できないのはなぜか?」といったものが考えられます。
こうしてアウトプットの場を共有すると、ノウハウはかなり身に付きます。そして、うわさで聞いたゲームの裏技を家に帰ってすぐに試したくなるように、それを実行したくなってしょうがなくなってきます。ナレッジシェアにはこのような効用があるのです。
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