営業の弱い会社はノウハウ共有ができてない

「型」を教え「自走力」をつけさせよう

これらは営業スキルの背骨であり、これ自体が直接成果を生むというより、成果を出し続けるためのフレームワークのようなものです。彼は「営業ってこんなにロジカルに考えることができるんですね」と驚いていました。しかし、私はひたすら思考の深掘りを促す質問をしていただけでした。

・「いまの自分の課題を3つ挙げるとしたらなんだろう?」
・「前のプレゼンでうまくいかなかった要因はなんだろう?」
・「この企業情報から読み取れる経営者のニーズってなんだろう?」
・「そのニーズに似た事例、いままでもなかったかな?」

 

こうした宿題を出して、翌日に彼なりの答えを用意してもらうというのがお決まりのパターンでした。質問形式にすることで彼なりの工夫を促し、自分で状況を改善していける力をつけてもらいたかったのです。「自走力」をつけてもらうことは育成の基本ですが、そうかといって「全部自分で考えろ」という管理手法はやりすぎです。私は育成担当の心構えとして、改善していく能力も身に付けてもらいながらも、最初の型はある程度与えるべきだと思っています。後はそれを改善していけばいいのですから。

また、こういったコーチングは属人的なものではなく、仕組みで実現できることです。だから、組織に横から下から人が入ってきても、すぐに戦力にすることができ、非常に高い強度を誇る組織になっていきます。マネジャーは部下の育成や仕事の仕組みづくりなど、中・長期的なタスクに集中したほうが望ましいでしょう。ここにチームが抱える課題を解決する突破口があるからです。

部下の仕事を直接手取り足取り上司が手伝ってしまえば、現場は確かに楽ですが、それは一時しのぎにしかなりません。それよりも「部下が緊急の仕事に追われない仕組み」を考え、この課題を早期解決すべく時間を使うほうが、結果的には部下を助け、チームの生産性も上げるのです。

ブラックボックス化した営業スキルを共有する

これまで、さまざまな企業の経営者や営業責任者と話をしてきたなかで、95%くらいの会社が「営業の質の差が激しい」という課題を抱えているということに気づきました。営業の質の差が激しい原因は、ひとえに組織として知識を共有していないから、といえます。

特に営業同士の競争原理が働きすぎる企業では営業の個人商店化がさらに進みます。さらに、大企業の営業部隊になると支店同士の競争という力学も働くので、なおさらナレッジシェアがされにくいという構造もあります。

このように、営業組織は競争原理を取るか、集合知を取るかのトレードオフの関係でとらえられがちですが、実は競争原理を維持したままでもナレッジシェアは可能です。

次ページ「ナレッジシェア会」で営業テクニックを発表し合う
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