営業の弱い会社はノウハウ共有ができてない 「型」を教え「自走力」をつけさせよう

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こういった「雑談」は非効率だと思われがちですが、多くの社会人は社内でプライベートな悩みを打ち明けにくいのが現状です。そこをマネジャーが「何かあったら仕事のこと以外でも相談してよ」とオープンに接することで、上司と部下という関係でなく、人間対人間の関係になり、その結果、信頼関係が生まれます。その信頼関係がベースにあれば、「会社やグループのために頑張ろう」と、目標に対するモチベーションも上がっていきます。「メンバーの人生に寄り添う」ことを念頭に接することが、グループ内の結束を高め、PDCAサイクルの潤滑油にもなるのです。

メンバーとの信頼関係を築き、チームでPDCAが回せるようになった場合、そのサイクルにも個人差があることに気づくでしょう。この場合、私はメンバーをある業務において自分で考えて動くことが「得意・不得意な人」「やりたい・やりたくない人」を軸とした4象限にあてはめ、適切なサポートができるようにしています。

(コーチングのスタイルを決める4象限)

たとえば「やりたいけど不得意」な人に対しては、ヒントを与えつつ「自分で答えを導き出した」と感じられるコーチングをするように意識しています。具体的には「結果」でなく「過程」を褒めるようにして、「どう改善していこうか?」と問いかけることで、軌道修正してもらうようにしています。

ここで注意しておかなければいけないのは、この「やりたいけど不得意」タイプのメンバーに、こちらが進め方を1から10まで提示してしまうと、むしろ「やりたい」と思っているモチベーションも下がおそれがあるということです。

ベストは、「やりたくて得意」の状態ですが、それ以外の人を引き上げることも、トレーニング次第では可能です。そこで先ほど挙げた「プライベートの話題」が活きてきます。どんな人も、日常生活では無意識にPDCAを回しています。たとえば趣味のトライアスロンでタイムアップの努力をしている、料理がとても上手だ……などといったような、彼らがすでに「やりたくて得意」としていることを聞きつつ「それをいまの仕事に置き換えたらどうだろう?」と話し合い、導いていくのがコツです。

優れたマネジャーが教える「型」と「自走の仕方」

野村証券に勤めていたとき、1期下の後輩の育成担当になったことがあります。彼は自分で考えて動くことが苦手でしたが、「やりたい」とは思っていました。そこで私は次のようなことを徹底的に教えました。

●何事も仮説に基づいてスピーディに判断・行動すること
●日々の営業活動を数字で追うこと
●悩んだら課題を分解してみること
●ボトルネックや顕在化していない課題をつねに探し続けること
●課題と解決策のパターンを増やすこと
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