1日1億円を売った実演販売士の傾向と対策 達人の口上は確固たる理論で成り立っている
――置かれた場所で咲くよりも、みずから咲く場所を探していく。
松下氏:そして自分で見つけた場所を、とことん愛することが大事なんじゃないでしょうか。自分で場所(仕事)を選ぶことができれば、不遇の時も耐えることができます。大事なのはその時、聞こえてきた声に、正直に従う。自分をごまかしたり、変に我慢した先に「正しい努力」はなかなか見えてきません。
一緒に働く仲間にも、正直な言葉で伝える。相手にして欲しいことは、求めない。ちゃんと言葉で伝える。言葉で言えないことは求めない。そうして妥協なく「好き」なことで、正直に自分を高めていく。そうすれば「正しい努力」は自ずと見えてくると思うんです。
自分を大切にしながらでも、未来は描いていける
――自分の声に正直に、目標を達成してきました。
松下氏:無理はしない。その代わり、自分で決めたらとことんやる。今のような形で、実演販売を始めた頃、中には「お前たちのやっているのは実演販売じゃない」と言われたこともありました。また、この仕事に限ったことではないと思いますが、新しい試みには、当然、いろいろな反応が返ってきます。
そして、それらは大抵、十人十色。人それぞれの持論があります。正解も人それぞれ。その中から、自分に合うものは取り入れて、そうでないものは無理して聞く必要はないと思うんです。その代わり、自ら選んだのなら、言い訳せずに行動をする。そうして、なりたい自分を逆算して描き、近づいていく。実は「レジェンド」という呼称も、最初は自ら名乗ったものが、そのうちテレビショッピングで売り上げたある商品が一晩で1億円を売り上げた実績とともに、本当に周りからそう呼ばれるようになった、まさに逆算の賜物なんです。
ぼくは自分が大好きです。「こう見られたい」という想像を、形にしていく。そのために必要なことをしていく。働くというと、真っ先に「我慢」という言葉が浮かびますが、自分を大切にしても未来はちゃんと描ける、ということをこの仕事を通じて証明したいとも思っています。
――自分を大切にしても、夢は掴める。
松下氏:こうして「実演販売士」という、自分に向いた仕事で生きることができ、家庭を持ち、子どもを育てることができることに感謝しています。ぼくがこの世界を志した時、「もうお前の後は一生誰も来ないよ」とも言われていました。業界の道は、自分の考えとは正反対にしぼんでいくものと考えられたんです。けれど、自分なりの方法論で、実演販売士の土壌を作っていった結果、確実に世界は広がっています。
「実演販売士」という仕事は、説明書などの文字には記されない「ストーリー」と「感動」を伝えることのできる魅力ある仕事だと、ぼくは信じています。自分の好きなセリフに「スゴくないですか?」というものがありますが、こうした人間の感想は、実演販売だからこそ伝えられるものです。
これからも、自分の声に正直に、次の挑戦も新しい仲間とともに楽しみながら、世の中の「スゴいもの」を「レジェンド松下」の感動と共に伝え続けていきたいと思います。
(インタビュー・文/沖中幸太郎)
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