21歳地下アイドルが悟った仕事観と対人関係 「自分とは合わない人」を断って見えてきた
『うつヌケ』(KADOKAWA)という本が27万部(2017年5月現在)を突破するベストセラーになっています。
『うつヌケ』は、うつトンネルから抜け出せた人たちの存在と、トンネルを抜けた人たちでも再発に怯えていることを教えてくれて、寛解したいま読んでもとても安心できました。同時に、現代には過労やうつで悩んでいる人がたくさんいることも知りました。
地下アイドルの世界もまた、人生と生活の選択肢が多くなった現代に生まれた世界です。少なくとも私はその中で、悩める女の子たちと共に活動をしてきました。
私はうつ病の診断を受け、そこから3年ほどかけて寛解に至りました。現在は担当医の判断で断薬しています。
私の場合は、自分がうつ病であることを認めて原因を分析することが、不安と向き合うための大きな一歩になりました。
しばらくは調子がよくなっても、また少し悪くなる日々を繰り返していましたが、調子が悪いときこそ焦らず、自分の不安の奥にある原因を察知して分析することで、次第に思考が停止するほど調子が悪くなる日は減っていきました。
自分で原因を分析してみた結果、私を憂鬱にしていたものをおおまかに分類すると、
【過労】【人間関係】【自分の気持ちを尊重できない】の3つにまとめられることに気がつきました。
まあ、あの、うつ病だと診断される前から、とびきり明るい性格でもなかったのは間違いのない話ですが……。
過労への入り口
それはさておき、どれも普通の仕事と同じように考えれば、すぐに気がつきそうな原因ばかりですが、地下アイドルを仕事ではなく、特殊な活動だと考えていたせいで長いこと気がつけずにいました。
ひょんなきっかけで地下アイドルの世界に足を踏みいれた当初、私は高校生になったばかりだったので、働いておカネをもらえることがすごく楽しくて、すぐに月20本ほどのライブに出演するようになりました。そうして私は、高校に通いながら、放課後はライブとアルバイトに明け暮れていました。これが過労への入り口だったように思います。
また、ライブに出演するときはつねに、周囲の女の子との人間関係を保とうとして緊張していました。地下アイドル同士は競わされる機会が多いので、油断すると仲が悪くなってしまうからです。
地下アイドルの世界には、普通の女の子よりも他者に認めてもらう機会が多く用意されていますが、同時に女の子同士が比べられる機会も多く待ち受けています。2009年にAKB48グループが、ファン投票で順位を決める総選挙を開催し始めたことから、当時の地下アイドルはこうした女の子を競わせるイベントが多かったのです。
それだけでなく、勝ち抜くための過程として、物販の売上金額や有料のインターネット配信の視聴者数を競わせるようなオーディションも珍しくありません。オーディション自体をビジネス化している人たちがいるからです。
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