21歳地下アイドルが悟った仕事観と対人関係 「自分とは合わない人」を断って見えてきた
彼女たちはもし他者から競うことを強制されていなくても、時に自分自身にノルマを課す場合があります。「いつのライブに何人動員できなかったら……」「CDが何枚売れなかったら……」「ツイッターのフォロワー数が何日までに何人にならなかったら……」といった数字で達成がわかる目標を掲げる女の子が後を絶たないのです。
正解があいまいな世界では、つい目に見える達成がほしくなってしまいますが、女の子たちにとって精神をすり減らす行為であることに違いはありません。
高校生のときの私も、自分と同じような新人の地下アイドルと横並びになって比べられたり競わされたりすることも、大きな精神的負担になっていました。
メイド喫茶の店長職がとどめに
また、ライブもアルバイトも減らせなかった理由は、子どもの頃から悩んできた自分の「断れない性格」にもあります。結果として断れない性格は、仕事を増やして私に疲労感を募らせ、うつへの大きな原因になっていったのです。
あまり眠らずに朦朧として過ごしていると、仕事での人間関係にもトラブルが頻発するようになりました。仕事の依頼をすべて受けるということは、その仕事についてくる人間関係も一緒に引き受けるということだったからです。
中でも私にとどめを刺したのは、メイド喫茶の店長職を引き受けたことでした。
思い出すのもつらいことです。
そのお店は私に依頼が来た時点で、1人の常連さん以外はほとんどお客さんがいない状況でした。私のライブを観ていた社長が、私を店長に、私のファンの人たちをお客さんとして迎えたいということで、何度か現場まで足を運んで熱心に依頼してくれたのです。
実際に働き出すと、もともとお店にいたメイドの女の子たちも優しい子ばかりで、私のファンの人たちに接客できることも本当に喜んでくれました。私もファンの人と顔を合わせる機会が増えて、女の子たちとも仲良くしてもらえて、自然と多くの日数をお店で働いて過ごすようになっていきました。
しかし、お店が軌道に乗り始めると次第に、私がお客さんを呼んでいることから、社長が露骨に私をひいきするようになっていったのです。たった1人いた常連さんが店に来なくなり、元いた女の子たちも1人2人と辞めていきました。
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