一般的に、大学ゴルフ部で用具代や練習、ラウンドの費用など年間数十万円程度はかかるといわれている。「月2回がノルマ」というキャディーのアルバイト料は自分の手元に入り、その中から月5000円の部費を支払える。土日なので授業の支障にならない。授業が終わった後にコースに行けば回れる。平日は授業の合間に練習場に行ける。そんな環境が「いつも」存在することになった。部の運営には、大学からの補助はほとんどないため、OB会の援助も大きいという。
自前の練習場を持っていたり、大学の「広報」としての役割を果たすために資金も豊富な強豪校とは違う環境の中でも「楽しむ」「うまくなる」「優勝を味わえる」と、階段を上がっていった。
ゴルフを通じた横のつながりが将来を支える
井上監督は「入ってくる部員は全員辞めさせないように、ゴルフの好きな社会人になってもらいたい」という。そのために、試合も多くの部員が経験できる環境を整えるのが、今後の目標でもある。現在は関東大学ゴルフ連盟競技のほか「旧七帝大」と呼ばれる東京大、京都大、大阪大、名古屋大、東北大、九州大、北海道大に一橋大を加えた対抗戦もある。「今度、慶大との交流戦もやります。野球でいう東京六大学の交流戦まで発展させられたらと思っています」(井上監督)。
日本を支えていく人材を輩出するさまざまな大学と、ゴルフを通じて「横のつながり」を作ること。それがゴルフ界の将来の底辺を支えることになるだろう。
プロを目指すわけではない。そんな東大生にとってゴルフはどんな意味を持つのだろうか。
「ゴルフはいろいろな年齢の人と回れるコミュニケーションツールとして考えています。キャディーのアルバイトでも普通では話せない人と話せます。そういう方とコミュニケーションを取れるかも大事だと思います」(山野男子主将)
「東大生は家庭教師とか、教育系のアルバイトが多いので、言葉遣いなども意識しないので社会勉強にならない。ゴルフで、特にキャディーのアルバイトでも、話すのはこれから私たちが行く世界の人たち。社会勉強になったらいいと思います」(岡見女子主将)
「70代、80代のOBの方々が元気にラウンドしている姿を見て、長年続けられるスポーツだと思います。キャディー経験、部活の運営など、人間として成長できますし、目上の方と臆せず話せるようになりました」(近藤主務)。
これは、東大生に限らず多くの人に共通するゴルフの効用だろう。
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