「役員が最上階にいる会社」が冴えない理由

トップが変わらないと会社も変わらない

もちろん、親と子どものあいだには、その責任のあり方に違いがある。だから、行動も違うだろう。だが、親が子どもたちと同じルールのもとで暮らしていると、子どもたちとの関係もうまくいく。

同じことは職場にもあてはまる。

CEOは大学を出たばかりの新入社員とは抱えている責任の重さが違うのだから、両者が何もかも同じでなければいけないと考える人はいないだろう。けれどもCEOやほかの上司たちが一般社員に比べて、自分たちの特権を最低限にとどめていれば、特権好きの上司が集まった会社よりも、社員たちの士気ははるかに高くなる

上司が自らの権利に疑問を持つと…

これは、フォード社を赤字からV字回復させ、その後グーグルの役員になったアラン・ムラーリーも取った手法だ。ムラーリーはすべての立場で働いている人たちからとても愛された人だ。彼が愛された理由の1つとして、「上司の象徴」となるものを壊していったことが挙げられる。

彼は決して大物ぶった振る舞いをしなかった。昼食をフォード社の経営陣用の豪華な食堂で取らず、会社のカフェテリアで取っていた。隣にいる従業員と同じプラスチックのトレイを持って、ちゃんと列のうしろに並んだ。生産ラインで働く社員の話を聞いて、いろいろな情報を得るのを楽しんだ。生産ラインの従業員たちとは、会議で顔を合わせる経営陣たちと同じような態度で接していた。

彼は同じ会社で働く従業員と自分とを区別したいとも、その必要性があるとも感じていなかった。理由は単純だ。組織図を見れば、彼がこの会社のトップであることは明らかなのだから。

われわれが全米のさまざまな企業を見てきて感じたことは、組織が変わっていくためには、一般社員が自分より上の地位の人間が本当に変わる様子を目の当たりにしなければならない。つまり、上司たちが自分たちの行使している特権に疑問をもちはじめてこそ、ドラスチックな変化が初めて起きる

このような変化を起こすために、上司の立場にいる人は自分自身にこんな問いかけをするといい――「私たちには特別な駐車場が必要だろうか?」「最上階のオフィス空間が必要だろうか?」「上司の象徴となっている何かを手放せないだろうか?」「自分たちを寛容に扱っているのなら、同じように従業員たちのことも適切な範囲で寛容に扱っているのだろうか?」。

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