ティラーソン国務長官「辞任騒動」は衝撃的だ

トランプ政権は最大の危機に直面している

もともと対話を重視している中国はティラーソン氏の進め方を歓迎しているが、トランプ大統領はその進め方を「時間の無駄だ」と一蹴した。

もう1つの対立は、イラン核合意についてだ。トランプ氏はそれをひっくり返したいのに対してティラーソン氏は維持したい。そのティラーソン氏の立場をジェームズ・マティス国防長官も一般論として支持している。

ティラーソン氏をめぐる「3つの対立」

ティラーソン氏をめぐる対立が存在しているのは、トランプ大統領との間だけではない。この2人の間の感情的対立、政治・外交的対立を含めて、ティラーソン氏には3つの対立がある。2つ目の対立は、ニッキー・ヘイリー米国連大使との関係、3つ目の対立は、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問との関係だ。

ヘイリー国連大使は、つい最近、国連安保理全会一致で決まった対北朝鮮制裁決議をまとめて、一躍、その名を上げた。ヘイリー氏の政治力には定評があり、彼女の支持者たちは、ティラーソン氏が辞めたあとの国務長官に彼女を昇格させたいと考えている。本人も野心満々だ。

ヘイリー氏は徹底してトランプ氏の肩を持つ。北朝鮮の金正恩労働党委員長を「パラノイア(偏執症)」と呼んだことがあり、とにかく口も悪い。もしティラーソン氏の後に国務長官になったりすれば、トランプ政権の外交は、それこそ一枚岩となってしまう。かえって危なっかしいことになる。米朝軍事衝突も招きかねない。

もう1人のクシュナー氏は、トランプ大統領が誰よりも信頼している愛娘イヴァンカの夫であり、トランプ氏の娘婿だ。事実上、更迭されたスティーブン・バノン前首席戦略官・上級顧問は、何かにつけてクシュナー氏と対立していた。

そのクシュナー氏は、中東問題では一家言の持ち主であり、政権内でも発言権がある。中東外交を含む外交戦略では、ティラーソン氏と意見対立する場面もある。クシュナー氏は、ティラーソン氏と組むよりは、特にサウジアラビアと直接的なコミュニケーションを取りたいと考えている。

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