就職活動でAIはどのような役割をしているのでしょうか。
クラウドやビッグデータ解析、人工知能(AI)など最先端のIT関連技術を使って人事関連業務を行う、「HR Tech」への関心が高まっています(「HR Tech」は“HR〈Human Resource〉× Technology”を意味する造語)。この流れは、もちろん新卒採用領域にも及んでおり、AIを使ったエントリーシート分析などが、すでに実用化されています。
AIで検索などの作業を減らす
リクルートグループでも、2012年頃から、学生・企業双方に向けた、機械学習やビッグデータを活用した新卒採用や就職関連サービスの開発を、本格化させています。就職情報サイト「リクナビ」をはじめとした、学生向けのサービスのAI活用の歴史や今後の展開を紹介しつつ、AI時代の就職情報サービスの使いこなし方を解説していきます。
開発を始めた2012年頃はリーマンショックの影響で冷え込んだ企業の採用意欲が回復しつつあった時期。学生の就職に対する危機感はまだまだ高いものでした。しかし、いざ就職先を選ぼうと思っても、「企業を知らない」「どう探していいかわからない」という学生が圧倒的多数だったのです。
一方、われわれの中で大きく膨らんでいたのは、「就活の手間」に関する問題意識でした。就活は学生が「自分の未来を考える」機会でもあります。大切なテーマですから、それに費やす時間は、いくらあっても十分とは言えないのかもしれません。
しかし、その限られた時間の多くを、たとえばウェブサイトで企業を検索して、ブックマークもして……といった、作業的な部分に費やしている人が目立っていました。