現金NGが当たり前、激変する中国「決済実情」

なぜキャッシュレス化が急速に進むのか

不便という意味では、今、中国の都市部で大流行しているシェア自転車も、スマホで決済することを前提に開発された新しい交通手段だが、これも、ここまで短期間に普及し、人々に受け入れられたのは「これまでの移動はとても不便だった」ことが背景にある。

シェア自転車はスマホの電子決済で(写真:筆者提供)

北京や上海などの大都市では、いまや都心に家を買おうと思ったら“億ション”は当たり前だ。必然的に家は郊外で買うか、借りるか、ということになるが、たいていの場合、都心の勤務先から地下鉄に乗って最寄り駅で降り、そこからバスに乗り換えたり、さらにバス停から15分以上歩いたり、という不便な立地で生活をしている人が少なくない。

そうした中、シェア自転車は、デポジットはかかるものの、通常は30分乗っても10円程度の料金で利用できるため(しかも、スマホ決済なので小銭は不要)、徒歩10分以上の距離に利用する人が多く、ここまで爆発的に普及したのだ。だから、交通網が整備され、郊外の生活圏がここまで大きくない日本とは、単純に比較できない。

中国の紙幣は汚い

不便というのとは少し違うが、紙幣といえば、以前は中国の紙幣の汚さに閉口した。30年近く前から中国に通っていた私は「汚いのが当たり前」と思い、ここ数年メキメキときれいになっていく紙幣を見て喜んでいたが、中国人の友だちに聞いてみると「あんなに汚い手垢だらけの紙幣、以前から触りたくなかった。スマホ決済になって、財布や紙幣を使わなくなって、はっきりいってスッキリした!」という声が返ってきてびっくりした。

近年ではさすがにおカネを財布に入れずに持ち歩く中国人は見かけなくなったが、十数年前までは財布を使っている中国人(特に男性)をあまり見かけなかった。数枚の紙幣を折りたたんで無造作にポケットに入れている人が多かった。そのせいか、紙幣はいつも汚くてボロボロ。特に1元札や10元札はヨレヨレ、フニャフニャで、まるでゴミと見間違うようだった。以前、来日した中国人の友人が、日本のピーンとした張りのある紙幣を見て感心したと言っていたのはそうした現状があったからだった。

もう1つ、紙幣といえば、中国で切っても切り離せないのが偽札問題だ。スマホ決済が普及して、多くの中国人は「あぁ、よかった。もうこれで偽札をつかまされる心配がなくなった」と内心ホッとしたのではないだろうか。

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