55歳「元週刊誌記者」が貧困から脱せない事情 フリーで食えず自己破産、生活保護受給者に

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マサヤさんが現在服用している薬(編集部撮影)

「医師からはフルタイムの就労は難しいと言われていると説明しても、(ケースワーカーは)働け、働けと脅すばかり。1度、街中ですれ違ったときに“お元気ですね”と声をかけられました。薬のおかげで何とか元気に見えているだけなのに……。それだけじゃない。精神保健福祉士と定期的に面談するよう言われたほか、服用している薬の名前を全部メモされたこともあります。収入があったときにその分を保護費から差し引かれる仕組みも納得できない。まるで搾取だと感じました」

面談を担当する精神保健福祉士の言動にも問題があるという。担当者は威圧的な態度でたびたび夫婦の話を遮るだけでなく、あるとき「ご主人と奥さん、どっちが先にうつになるんですか? うつってうつるんですよねー」と軽口をたたいてきたという。

マサヤさんの話が事実なら、このケースワーカーは双極性障害やうつ病への理解が足りない。取材には彼の妻も同席した。夫婦ともに社交的で、なんの支障もなく見えたが、これは現在、彼らの精神状態が比較的に良好だからにすぎない。いったんうつに転じると、朝起きることはできなくなるし、2週間近く風呂に入らないことはざらだ。彼は風呂場でリストカットした妻を介抱したこともある。「うつはうつる」などの発言にいたっては、専門家の資質を疑う。

保護を打ち切られたらと思うと…

ただ、精神保健福祉士との面談を求めることや服用薬のチェック自体は、ケースワーカーとして当然の業務でもある。また、収入に応じて保護費を減額するのは、生活保護が「生活するために足りない費用を支給する」制度である以上やむをえない。勤労意欲をそぐとの批判も確かにあるが、基礎控除を設けるなど一定の工夫もなされていることを考えると、「搾取」とまでは言えないのではないか。

これに対し、マサヤさんは「面談も、服用薬のメモも理由を説明してくれないのが問題なんです。それに、働いてもいくらも手元に残らないと思うと頑張る気になれない」と反論する。さらに、私が理由なら尋ねればよいのではと言うと、夫婦は口をそろえて「保護を打ち切られたらと思うと、怖くて質問なんかできません」と主張するのだった。

一方で、マサヤさんは生活保護を利用していることを「うしろめたい」とも言う。夕方、節約ために近所のスーパーで値引きされた総菜を買うたび、福祉事務所の窓口で見掛けた生活保護受給者たちと出くわすことが「恥ずかしい」と言うのだ。

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