小池氏「出る」「出ない」狂騒曲に広がる虚しさ 「ブームに希望はない」と叫ぶ安倍首相も焦る

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1992年に細川護煕氏(元首相)に寄り添っての日本新党結党から、今年7月の都議選圧勝まで四半世紀を超える小池氏の政治家としての軌跡で浮かび上がるのは「メデイア戦略」の巧みさだ。今回の出馬騒動でも「ぎりぎりまで引っ張ることで、話題をさらう」という小池流は健在だ。9月25日午後の結党宣言以来続くテレビジャックは小池氏の作戦通りともみえる。

周辺には「私の出馬説と後継知事の名前まで取り上げるのは、フェイクニュースそのもの。(各局の情報番組は)放送法違反じゃないの?」と口を尖らすというが、衆院選公示を前に「小池劇場」を満員御礼にしているのは小池氏自身でもある。

負け戦なら出馬には意味がない

関係者によると小池氏が待っているのは中央マスコミや主要政党が実施している選挙情勢調査の結果だという。

いくら「政権交代」が最大のテーマとなっても選挙結果は有権者の投票次第だ。これまでの大手紙の緊急調査で希望の党への支持は急騰しているが、自民党に並びかけるところまではいっていない。これからの調査は各選挙区の当落も予測するもので、多くの調査で「自公の半数割れ」の可能性が浮上しないかぎり、小池氏が出馬しても「野党第1党の党首」が定位置となる。その場合、政治論では「安倍vs.小池」の戦いは小池氏の敗北となる。「初の女性首相」の可能性がなければ、批判の嵐の中で都知事という"玉座"を捨てる動機にはなりにくい。

小池氏側近で民進党系立候補希望者の「選別」を進める若狭勝前衆院議員は1日のNHK国会討論会で「私は小池さんは出馬しないと思っている」と語るとともに「候補者の数の問題もある」と口走った。

小池氏は表向きは「政権交代を目指す以上、衆院定数の過半数の候補者擁立が必要」と語るが、「オリジナルメンバー」を軸とする第1次公認候補は60人前後との見方が多く、あと180人近いの公認候補が必要となる。しかも、その候補者達が小選挙区で与党候補を破る可能性がない"かかし候補"ばかりでは意味がない。ところが、民進党前議員に入党希望者のうち「選挙に強い」とされる人材は50人足らずで、あとは「なんとか小池氏にすがって当選したい」という"風頼み"の候補者ばかりだ。

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