(このひとに5つの質問)デービッド・ユン グーグル コンテント担当副社長

(このひとに5つの質問)デービッド・ユン グーグル コンテント担当副社長

圧倒的人気を誇るグーグル傘下の動画共有サイト・ユーチューブに「侵害」と反発する日本の著作権団体は多い。7月末にその権利者団体らと協議を行ったグーグル幹部に聞いた。(『週刊東洋経済』8月25日号より)

ユーチューブの拡大は日本の権利者にも商機だ

1 今年2月に続き2回目となった日本の著作権団体との協議で、どのような感触を得たか。

 とても前向きな交渉ができたと思う。(著作権保護という)彼らの要求は明確で、それに誠心誠意応えたい意思は伝えた。ユーチューブをはじめ、動画共有サイトの運営はまだ未熟。著作権保護の技術開発が難しいことも理解してもらえたのではないか。

2 反発は多いが、ユーチューブに自社チャンネルを設ける日本メディアも出てきました。

 日本からのサイト利用は米国に次いで活発なだけに、一部の日本メディアと提携が実現し、とても感激している。著作権保護技術開発の要望がある反面、ユーチューブへのアクセスが増えているため将来的なビジネスにつながるとわかってもらえたのだろう。

 2月の協議では疑念を抱いていたかもしれないが、わずか半年でこれだけ進展があると思わなかった。だから、あと半年経つと何が起こるかわからないね。

3 具体的なビジネスモデルはどのようなものでしょうか?

 自社チャンネルで番組の宣伝ができるうえ、両者で合意ができればバナー広告を掲載し利益分配が可能だ。アメリカではすでに実験を開始している。バナーの配置方法など、効果的な方法を模索している。これらが効果的だと実証できれば、日本の権利者にとっても大きなビジネスチャンスになる。

4 違法コンテンツのアップロードを事前防止する技術導入の期待が高まっています。

 権利者が違法コンテンツを検索し、削除要請する仕組みを設けるなど、(事後型の)著作権保護対策は講じている。もちろん早く事前防止技術を開発しなければならない。だが、グーグルにいる世界トップレベルのエンジニアでも簡単に作れるものではない。たとえば、ある動画コンテンツについて配信地域制限の有無をどう事前認識するかなど、課題はたくさんある。技術を出し惜しみしていると言われるが、われわれも開発に必死だ。エンジニアたちには秋までに完成させるようハッパをかけている。

5 今年2月、米バイアコムが10万件以上の動画削除を要請し、著作権侵害でグーグルを訴えました。

 訴訟には正直驚いた。ただし、それに続くメディアは出てきていない。動画の大量削除を行った日も、サイトへのアクセスは落ちなかった。ユーチューブは巨大なコンテンツ集積所になっており、特定のコンテンツ所有者に依存していない。提携したほうがバイアコムに大きなメリットがある。訴訟は残念だ。こうしているうちに、ライバルのメディアはユーチューブでメリットを得ているのだから。

(書き手:倉沢美左 撮影:尾形文繁)

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