サヘル・ローズ「重要なことを報じてほしい」

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山田:政治については「政策」について、徹底的に考えていくのが筋です。しかし、不倫や秘書に対する暴言などスキャンダルばかりが話題になると、本質が侵食していき、お笑いのようになってしまう。これはメディア側が反省しなければいけないことです。

そうした中にあって、池上彰さんのような方は偉いなあと思います。多くの視聴者は、池上さんのニュースを解説する手法に共感していると思います。ああいう方があと2人か3人、できれば10人くらい必要だと思います。難しい政策について、例え話をしながらでも一生懸命に説明しようとする。こういう報道のあり方、あるいはメディアのあり方が多数派にならなければいけません。

すべて「関係のない遠い国の出来事」ではない

サヘル:ニュースを受け取る側は、「自分たちもどこかでかかわっている」という当事者意識が必要だと思うんです。知らぬ間に加害者にもなっているんですよ。遠い国の紛争だから関係ないのではなく、実は知らない間に、かかわっているかもしれないのです。

そうしたかかわりについて触れることができれば、情報を受け取るアンテナの位置が変わるんじゃないかなって思います。今は「関係ない遠い国の出来事」として流れてしまっているニュースが多いと思うんですよ。でも、そんなことはないんです。

山田:たとえば、アフリカ象の保護について考える場合は、日本人が大きく関わっていますね。日本人が幅広く利用していた象牙を手に入れることがアフリカ象密猟の大きな原因になっていた。これは多くの日本人に広がっている意識だと思いますが、「遠い国であっても確実に日本が関与している問題」の典型例だと思います。

しかし、たとえば、イラクで起きている紛争に日本がどうかかわっているのか。これを納得できる形で説明するのは、そう簡単ではないですよね。

サヘル:難しいです。でも、たとえば中東のなかでも、日本の企業や人は大活躍をしています。政府はアメリカに従って動くしかない面は確かにありますが、民間はそうではありません。たとえばアフガニスタンでは地雷で脚を失った人々の義足づくりには日本企業が積極的にかかわっています。でもそれって意外と知らない方が多い。「私たち日本人は何もしてない」って結構みんな言うんですけど、そうじゃないんですよね。

ですから、まず日本人であることにまず誇りを持ってもらいたいし、恵まれてない地域で日本人がどれだけ今そういう支援に携わっているかを知ってほしい。実は日本によって救われている人たちが多いんですよ。もちろん改善が必要な悪い部分もあるでしょうが、よい部分を指摘するのは大切です。

これは勉強と同じで「君はこれができないんだ、あれもできないんだ」って言われたらもう嫌になるけれども、「君のこれがすごくよかったよ、あれもよかったよ」と言われると、「そうなんだ」って笑顔になれる。そこで一つ自信を持つことで、さらにかかわり方も変わってくると思うんです。だからマイナスの部分だけではなくて、ポジティブなこともちゃんと報じてほしいなあ、と感じています。

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